EntraID のカスタムドメイン追加とプライマリ設定手順

この記事では、自分の組織のドメイン名を、カスタムドメインとして Entra ID(Azure AD)のテナントに追加し、プライマリドメインに設定する手順を確かめます。

名称について

Azure AD は、現在は Microsoft Entra ID という名前に変わっています。この記事では、検証時(2023年4月)の画面に合わせて旧名の Azure AD で表記します。

Azure AD のテナントは、作った時点では <テナント名>.onmicrosoft.com という初期ドメインだけを持っています。メールアドレスなどで使っている自組織のドメインをカスタムドメインとして追加すると、そのドメインでユーザー名を作れるようになります。オンプレミスの Active Directory と連携するときも、同じドメインを追加して確認しておきます。

この記事でわかること
  1. カスタムドメインを追加する前に必要なもの
  2. カスタムドメインの追加と、TXT レコードによる所有権の確認
  3. プライマリドメインの変更と、ユーザー作成時の変化

前提条件

Azure AD にカスタムドメインを追加する前に、次のものを用意します。

必要なもの内容
インターネットで使えるドメインドメインレジストラ(お名前.com など)で取得したドメインを使います。.com などのトップレベルドメインまで含めた名前が必要で、example.local のようなローカルのドメインは使えません。
DNS レコードを変更できることドメインの所有権を証明するために、そのドメインの DNS に TXT(または MX)レコードを登録します。
管理者のロール今回はグローバル管理者で操作しました。ドメインの管理だけなら、ドメイン名管理者のロールでも足ります。

今回は、自分で取得したドメイン(以下、カスタムドメイン。名前は伏せています)を Azure AD のテナントに追加します。DNS には AWS の Route 53 を使っています。

初期ドメインの .onmicrosoft.com は、名前を変えることも削除することもできません。カスタムドメインは、それに加えて登録するものです。

Azure AD にカスタムドメインを登録

カスタムドメインを追加する

Azure ポータル(https://portal.azure.com/)にグローバル管理者のロールを持つユーザーでサインインし、Azure Active Directory ›› カスタム ドメイン名 ›› カスタム ドメインの追加 をクリックします。カスタムドメイン名を入れて、「ドメインの追加」をクリックします。

画面イメージについて

この記事の画面は、実際の画面ではなく、検証時(2023年4月)の画面から設定する項目(見るポイント)を抜き出して描いたイメージです。今のポータルとは、項目の並びや表記が違うことがあります。ドメイン名、テナント名、TXT レコードの値は伏せています。現在は、Microsoft Entra 管理センターの Entra ID ›› ドメイン名 からも同じ操作ができます。

Azure ポータル(カスタム ドメイン名:既定のディレクトリ)画面イメージ
1カスタム ドメイン名(伏せています)
2ドメインの追加
3 ドメイン名が追加されました
ドメイン名 ‘(伏せています)’ が 既定のディレクトリ に追加されました。
図1 カスタムドメインの追加(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目内容
1カスタム ドメイン名追加するドメイン名です。.com などのトップレベルドメインまで入れます。
2ドメインの追加クリックすると、テナントにドメインが追加されます。この時点では、まだ所有権の確認が済んでいない状態です。
3ドメイン名が追加されました(緑)追加が終わったという通知です。続けて、所有権を確認するための DNS の情報が表示されます。

カスタムドメインの検証

追加したドメインを使えるようにするには、そのドメインの持ち主であることを証明する必要があります。Azure AD が表示した値を、ドメインの DNS に TXT レコードとして登録し、Azure AD に確認させます。

Azure AD① カスタムドメインを追加③ 「確認」で TXT を照会管理者② 表示された値でTXT レコードを登録ドメインの DNS(今回は Route 53)MS=ms… の TXT値登録③ Azure AD が DNS に TXT レコードを問い合わせ、値が一致すれば「確認済み」ドメインの所有者でなければ DNS にレコードを登録できないので、所有権の証明になる
図2 TXT レコードによる所有権の確認

確認に使うレコードを選ぶ

ドメインの確認方法を選びます。今回は TXT レコードを選びました。表示される値は、DNS に登録するまで控えておきます。

Azure ポータル((伏せています):カスタム ドメイン名)画面イメージ
Azure AD で(伏せています)を使用するには、以下の情報を使用して、ドメイン名レジストラーで新しい TXT レコードを作成します。
1レコードの種類◉ TXT○ MX
2エイリアスまたはホスト名@
宛先または参照先のアドレスMS=ms(伏せています)
TTL3600
上で説明したとおり、レジストラーでドメインの構成が完了するまで、確認は成功しません。
3確認
図3 確認に使う DNS レコードの情報(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.項目内容
1レコードの種類TXT を選びます。DNS の都合で TXT を登録できない場合は MX も選べます。
2ホスト名/値/TTLDNS に登録する内容です。@ はドメインそのもの(サブドメインなし)を表します。値は MS=ms で始まる文字列で、テナントごとに違います。TTL は 3600 秒です。
3確認DNS への登録が終わったあとにクリックします(STEP 4)。

DNS に TXT レコードを登録する

ドメインを管理している DNS で、TXT レコードを作ります。今回は AWS の Route 53 を使っているので、ホストゾーンに次のレコードを追加しました。

AWS Route 53(レコードを作成:レコード 1)画面イメージ
1レコード名subdomain (伏せています)
ルートドメインのレコードを作成するには、空白のままにします。
2レコードタイプTXT – メール送信者の検証とア…
3値MS=ms(伏せています)
TTL (秒)3600
ルーティングポリシーシンプルルーティング
図4 Route 53 での TXT レコードの登録(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1レコード名空白のままにします。Azure AD のホスト名 @(ドメインそのもの)に当たります。
2レコードタイプTXT を選びます。
3値/TTLAzure AD に表示された MS=ms… の値と、TTL 3600 を入れます。

確認する

DNS に登録したレコードが広まったら、Azure AD の画面で「確認」をクリックします。広まるまでの時間は DNS やレジストラによって違い、すぐのこともあれば、1時間以上かかることもあります。確認が通ると、次のメッセージが表示され、ドメインの一覧で状態が「確認済み」になります。

Azure ポータル(確認の通知とカスタム ドメイン名の一覧)画面イメージ
1 ドメイン名の確認
ドメイン名(伏せています)の 既定のディレクトリ での使用が正常に確認されました
名前状態
2(伏せています) 確認済み
(伏せています).onmicrosoft.com 使用可能
図5 確認の通知とドメインの一覧(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1ドメイン名の確認(緑)DNS の TXT レコードの値が一致し、所有権が確認されました。
2確認済み(緑)カスタムドメインが使える状態になりました。下の行の初期ドメイン(.onmicrosoft.com)は「使用可能」です。
確認が通らないとき
  • DNS のレコードが広まるまで、1時間ほど待ってからもう一度試します。
  • DNS に登録した値が、Azure AD に表示された値と同じかを確かめます。
  • 同じドメインは、1つのテナント(ディレクトリ)でしか確認できません。ほかのテナントで確認済みなら、そちらから削除します。

プライマリドメインを更新する

カスタムドメインが確認できたら、プライマリドメインを変えます。テナントを作った時点では、初期ドメインの .onmicrosoft.com がプライマリです。プライマリドメインは、新しくユーザーを作るときに最初から選ばれるドメインです。

変更前(伏せています).onmicrosoft.comプライマリカスタムドメイン変更後(伏せています).onmicrosoft.comカスタムドメインプライマリ新しく作るユーザーの UPN の @ 以降に、プライマリのドメインが最初から選ばれる既存のユーザーの UPN は、プライマリを変えても変わらない
図6 プライマリドメインの変更

プライマリにする

カスタム ドメイン名 の一覧で、確認済みのカスタムドメインをクリックし、「プライマリにする」をクリックします。

Azure ポータル((伏せています):カスタム ドメイン名)画面イメージ
ホーム ›› 既定のディレクトリ | カスタム ドメイン名
1✓ プライマリにする削除
確認に成功しました。
種類カスタム
状態確認済み
フェデレーションいいえ
2プライマリ ドメインいいえ
使用中いいえ
図7 カスタムドメインの詳細(実際の画面ではなく、操作のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1プライマリにするクリックすると、確認の画面が出ます。プライマリにできるのは、確認済みで、フェデレーションしていないドメインです。
2プライマリ ドメイン今は「いいえ」です。変更後は「はい」になります。

確認の画面で「はい」をクリックすると、次のメッセージが表示されます。

Azure ポータル(プライマリの確認と通知)画面イメージ
(伏せています)をプライマリ ドメインにしますか?
1はいいいえ
2 ドメイン名がプライマリになりました
ドメイン名 ‘(伏せています)’ が 既定のディレクトリ のプライマリになりました。
図8 プライマリの確認と通知(実際の画面ではなく、操作のポイントを示したイメージです)

プライマリになったことを確かめる

カスタム ドメイン名の一覧で、カスタムドメインの「プライマリ」の列にチェックが入っていることを確かめます。

Azure ポータル(カスタム ドメイン名の一覧)画面イメージ
名前状態フェデレーションプライマリ
(伏せています) 確認済み 1✓
(伏せています).onmicrosoft.com 使用可能  
図9 プライマリになったカスタムドメイン(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1プライマリの ✓カスタムドメインがプライマリになりました。初期ドメインからはチェックが外れます。

試しに、ユーザー ›› 新しいユーザー ›› 新しいユーザーの作成 を開きます。ユーザー プリンシパル名の @ 以降に、カスタムドメインが最初から選ばれています。

Azure ポータル(新しいユーザーの作成:基本)画面イメージ
1ユーザー プリンシパル名  @ (伏せています)
メール ニックネーム 
☑ ユーザー プリンシパル名から受け継ぐ
表示名 
⋮ (中略)
図10 新しいユーザーの作成画面(実際の画面ではなく、確認のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1@ 以降のドメインプライマリにしたカスタムドメインが、最初から選ばれています。プルダウンで初期ドメインなどほかの確認済みドメインも選べます。
補足

プライマリドメインを変えても、すでにあるユーザーのユーザー名(UPN)は変わりません。既存のユーザーをカスタムドメインに移したいときは、ユーザーごとに UPN を変更します。

まとめ

手順やることポイント
追加カスタム ドメイン名でドメインを追加初期ドメイン(onmicrosoft.com)は変更・削除できない
検証表示された TXT レコードを DNS に登録し、「確認」反映に時間がかかることがある。1つのテナントでしか確認できない
プライマリ確認済みのドメインで「プライマリにする」新しいユーザーの既定のドメインになる。既存ユーザーの UPN は変わらない

カスタムドメインを追加してプライマリにしておくと、組織のメールアドレスと同じ形のユーザー名でユーザーを作れます。オンプレミスの Active Directory と連携する予定がある場合は、連携に使うドメインを最初の段階で追加・確認しておきます。

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