【図解】ワークグループとドメインの違いとは?アカウントの置き場所から初心者向けに解説

WindowsのPCは、「ワークグループ」か「ドメイン」のどちらかに属しています。家庭のPCはたいていワークグループで、会社のPCはドメインに参加していることがほとんどです。この2つのいちばん大きな違いは、ユーザーのアカウントをどこに置き、誰が本人確認をするかにあります。

この記事でわかること
  1. ワークグループとドメインの違いは「アカウントの置き場所」
  2. ローカルアカウントとドメインアカウントの見分け方
  3. ドメインに参加すると何が起き、何が楽になるのか

ひとことで言うと「名簿がどこにあるか」

ワークグループでは、PCが1台ずつ自分のアカウントの名簿を持っています。PC同士は対等で、どのPCもほかのPCを管理しません。ドメインでは、名簿をドメインコントローラ(DC)という専用のサーバにまとめ、ドメインに参加したPCやサーバは、本人確認をDCに任せます。

ワークグループドメインPC-Aアカウントuser01adminPC-Bアカウントuser02adminPC-Cアカウントuser03各PCが自分の名簿を持つ(対等)ドメインコントローラドメインのアカウントuser01user02user03 …PC-APC-Bサーバ名簿はDCに1つ。各PCはDCを信頼する
図1 ワークグループとドメインの違い。名簿が各PCにあるか、DCにまとまっているか
項目ワークグループドメイン
アカウントの置き場所各PCの中(SAMというデータベース)DCの中(Active Directoryのデータベース)
本人確認をするのはアクセスされる側のPC自身DC
サインインできるPCアカウントを作ったPCだけドメインに参加しているPCならどれでも
パスワードの変更PCごとに変える1回変えれば、すべてのPCで新しいパスワードになる
向いている規模家庭や小さな事務所(数台〜20台程度)会社や学校など、台数や人数が多い環境
主な認証プロトコルNTLMKerberos(使えないときはNTLM)

ワークグループのしくみ

ワークグループでは、PCにサインインするためのアカウントは、そのPCの中に作ります。ほかのPCにサインインしたり、ほかのPCの共有フォルダを使ったりするには、相手のPCにもアカウントが必要です。Microsoftの説明では、ワークグループは同じネットワーク上の、多くても20台程度の機器で使うものとされています。

ほかのPCの共有フォルダを開くとき

PC-Aにuser01でサインインしている人が、PC-Bの共有フォルダを開く場面を考えます。本人確認をするのは、開かれる側のPC-Bです。PC-Bは自分の名簿を見て、user01がいるか、パスワードが合っているかを確かめます。

PC-Bにuser01がない、またはパスワードが違うときPC-Auser01でサインイン中PC-B共有フォルダがある① 共有フォルダを開きたい(user01として)NTLMで本人を証明する② 自分の名簿(SAM)にuser01はいる?③ 開けないPC-Aでは資格情報の入力を求められる④ PC-Bのアカウント(PC-B\user02 など)で入力し直す⑤ PC-Bの名簿で確認して、ACLで判断
図2 ワークグループで共有フォルダを開く流れ。開かれる側のPC-Bが、自分の名簿で本人確認をする
No.何が起きているか
①PC-Aは、今サインインしているuser01として、PC-Bに本人であることを証明します。ワークグループにはDCがないので、NTLMが使われます。
②PC-Bは、自分のSAMにuser01がいるか、パスワードが合っているかを確かめます(認証)。
③PC-Bにuser01がいない、またはパスワードが違うと、PC-Aの画面でユーザー名とパスワードの入力を求められます。
④⑤PC-Bのアカウントで入力し直すと、PC-Bが自分の名簿で確認し、共有フォルダのアクセス許可を見て開けるかどうかを決めます(認可)。

両方のPCに同じユーザー名と同じパスワードのアカウントを作っておくと、入力を求められずに開けることがあります。ただし、パスワードを変えるときは、すべてのPCで同じように変える必要があります。台数が増えるほど、この管理は大変になります。

ドメインのしくみ

ドメインは、Windows ServerのActive Directory ドメインサービス(AD DS)で作ります。AD DSの役割を持つサーバがドメインコントローラ(DC)で、ドメインのユーザー、グループ、コンピュータのアカウントを、Active Directoryのデータベースにまとめて持ちます。DCは、ほかのPCのようなSAMを使わず、Active Directoryでアカウントを管理します。

ドメインに参加したPCでは、ドメインのアカウントでサインインできます。自席のPCでも会議室のPCでも、同じuser01でサインインでき、ファイルサーバの共有も、パスワードを入れ直さずに開けます。本人確認はDCが受け持ち、各PCやサーバはその結果を信頼します。

ドメインコントローラ(DC)ドメインのアカウントuser01(営業部)user01席が変わっても同じアカウント自席のPC会議室のPCファイルサーバ本人確認を頼むできることどのPCでもサインイン共有をSSOGPOで一括設定
図3 ドメインでは、1つのアカウントでどのPCにもサインインでき、サーバも使える

名簿が1か所にあるので、管理もまとめて行えます。退職した人のアカウントをDCで無効にすれば、DCに確認するサインインやサーバの利用を、まとめて止められます。グループポリシー(GPO)を使えば、パスワードの長さや画面ロックなどの設定を、ドメインのPCにまとめて配ることもできます。

ドメインに参加すると何が起きるのか

PCをドメインに参加させると、Active DirectoryにそのPCのコンピュータアカウントが作られます。PCとDCは、このアカウントのパスワードを共有し、それを使ってお互いを確かめる通信路(セキュアチャネル)を作ります。このパスワードは、既定では30日ごとにPCが自動で変更します。

参加する前(ワークグループ)ドメインに参加したあとPC-APC-Aの名簿(SAM)Administratoruser01DCとは関係を持たない参加PC-APC-Aの名簿(SAM)Administrator(ローカル用)DCADのアカウントuser01PC-A$(コンピュータ)セキュアチャネルPC-Aのパスワードでお互いを確認PC自身にもアカウントとパスワードができる
図4 ドメイン参加の前後。ADにPCのアカウントができ、PCとDCがお互いを確かめられるようになる

つまり、ドメインでは人だけでなく、PC自身もアカウントを持ちます。Active Directoryでは、PC-A$のように、PC名の後ろに「$」を付けた名前で管理されます。「このワークステーションとプライマリ ドメインとの信頼関係に失敗しました」というエラーは、PCとDCの間でこのパスワードが合わなくなったときによく表示されます。

ローカルアカウントとドメインアカウント

ドメインに参加したPCでも、そのPCの中の名簿(SAM)は残っています。そこにあるのが「ローカルアカウント」で、Administratorなどがこれにあたります。ローカルアカウントで使えるのは、そのPCの中のものだけです。ネットワーク上のサーバを使うには、ドメインのアカウントが必要になります。

サインイン画面では、どちらのアカウントでサインインするかを、ユーザー名の書き方で区別できます。

PC-A(ドメイン参加)サインイン画面で入力する名前CORP\user01ドメインuser01@corp.example.comドメインPC-A\Administratorローカル.\AdministratorローカルDCに確認PCの中で確認DCADのデータベース(ドメインのアカウント)PC-AのSAMこのPCだけで使うアカウント
図5 ドメインに参加したPCでのアカウントの置き場所。書き方によって、確認する場所が変わる
書き方意味
CORP\user01ドメイン名(NetBIOS名)+ユーザー名。ドメインのアカウント
user01@corp.example.comUPN(ユーザープリンシパル名)。メールアドレスのような形のドメインのアカウント
PC-A\AdministratorPC名+ユーザー名。そのPCのローカルアカウント
.\Administrator「.」は今サインインしようとしているPCを表す。そのPCのローカルアカウント

今どのアカウントでサインインしているかは、コマンドプロンプトで次のコマンドを実行すると確認できます。「ドメイン名\ユーザー名」または「PC名\ユーザー名」の形で表示されます。

PC(コマンドプロンプト):今サインインしているアカウントを表示する

whoami
注意

ローカルの管理者アカウントを、すべてのPCで同じパスワードにするのは危険です。1台から盗まれたパスワードの情報で、ほかのPCにも管理者として入られてしまうおそれがあります。Windows LAPSのように、PCごとに別のパスワードを自動で設定して管理する仕組みを使うと、この危険を減らせます。

認証と認可で見ると

本人を確かめる「認証」と、何を許すかを決める「認可」に分けて見ると、ワークグループとドメインの違いがよりはっきりします。変わるのは主に認証のほうで、認可は、どちらでもアクセスされる側のPCやサーバが行います。

項目ワークグループドメイン
認証するのはアクセスされる側のPCが、自分のSAMで確認するDCが確認し、PCやサーバはその結果を信頼する
認可するのはアクセスされる側のPCアクセスされる側のPCやサーバ
アクセス許可に使う名前そのPCのローカルユーザーやローカルグループドメインのユーザーやグループ(ローカルのものも使える)
Entra参加との関係

最近は、ワークグループでもドメインでもなく、クラウドのMicrosoft Entra IDにPCを参加させる「Entra参加」も増えています。この場合、名簿はEntra IDにあります。参加の手順はMicrosoft Entra ID に Windows 11 デバイスを登録する方法(Entra 参加)で紹介しています。

まとめ

ワークグループとドメインの違いは、アカウントの名簿が各PCにあるか、DCにまとまっているかです。ドメインでは、1つのアカウントでどのPCも使え、パスワードの変更や無効化も1か所で済みます。

項目押さえておくこと
ワークグループ各PCが自分の名簿(SAM)を持つ。ほかのPCを使うには、そのPCのアカウントが必要
ドメイン名簿をDC(Active Directory)にまとめる。本人確認はDCが受け持つ
ドメイン参加ADにPCのコンピュータアカウントができ、PCとDCがセキュアチャネルでお互いを確かめる
ローカルアカウントドメインに参加しても残る。使えるのはそのPCの中だけ
見分け方ドメイン名\ユーザー名や UPN はドメイン、PC名\ユーザー名や .\ユーザー名 はローカル。whoami で確認できる

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