【EIGRP】Feasible DistanceとAdvertised Distance

EIGRP は、メトリックが最も小さい経路を最適な経路として選びます。経路を選ぶときに出てくるのが、FD(Feasible Distance:フィージブルディスタンス)と AD(Advertised Distance:アドバタイズドディスタンス)という2つの値です。この記事では、3台のルータの構成で FD と AD を順にたどり、トポロジテーブルとルーティングテーブルでの見え方を確認します。

この記事でわかること
  1. AD と FD の違い(誰から見た、どこまでの距離か)
  2. トポロジテーブルの (FD/AD) の読み方
  3. ルーティングテーブルに表示されるメトリックとの関係

AD と FD

用語意味
AD(Advertised Distance)隣のルータが広告してくる、隣のルータから宛先までのメトリック。RFC では Reported Distance(RD)と呼ぶ
FD(Feasible Distance)自分から宛先までのメトリックのうち最小のもの。AD に、自分から隣のルータまでのメトリックを足して求める

メトリックは帯域幅や遅延などから計算します。既定では帯域幅と遅延だけを使います。計算方法は メトリック計算(K 値) を参照してください。この記事では、説明を簡単にするため、各リンクのメトリックが 256 になるようにしています。

検証構成

Lo04.4.4.4/32R2R3R4256256256192.168.23.0/24192.168.34.0/24.2.3.3.4
図1 検証構成(数字は各リンクのメトリック)

R3 から見た FD と AD

R4 は、ループバック 4.4.4.4/32 をメトリック 256 で R3 に広告します。R3 から見ると、この 256 が AD です。R3 から R4 までのメトリックも 256 なので、R3 から 4.4.4.4/32 までのメトリックは 512(256 + 256)になり、これが FD です。

R3 から見た 4.4.4.4/32 Lo04.4.4.4/32R2R3R4256256256 R4 が広告:AD 256 R3 からの距離:FD 512(256 + 256) R2 から見た 4.4.4.4/32 Lo04.4.4.4/32R2R3R4256256256 R3 が広告:AD 512 R2 からの距離:FD 768(256 + 512)
図2 R3 から見た場合と R2 から見た場合の AD と FD

show ip eigrp topology:R3 のトポロジテーブル

R3

R3# show ip eigrp topology 
EIGRP-IPv4 Topology Table for AS(100)/ID(3.3.3.3)
Codes: P - Passive, A - Active, U - Update, Q - Query, R - Reply,
       r - reply Status, s - sia Status 

P 192.168.23.0/24, 1 successors, FD is 2560
        via Connected, FastEthernet0/0.23
P 192.168.34.0/24, 1 successors, FD is 256
        via Connected, FastEthernet0/0.34
P 4.4.4.4/32, 1 successors, FD is 512
        via 192.168.34.4 (512/256), FastEthernet0/0.34
表示意味
FD is 512R3 から 4.4.4.4/32 への FD
(512/256)前の 512 は、このネイバー(192.168.34.4、R4)経由で計算した R3 からのメトリック。後ろの 256 は、R4 が広告してきた AD

4.4.4.4/32 への経路はこの1つだけなので、R4 経由の経路が最小のメトリックを持つ経路、つまりサクセサです。サクセサ経由のメトリックがそのまま FD になるので、ここでは (512/256) の前の値と FD が一致しています。

show ip route eigrp:R3 のルーティングテーブル

ルーティングテーブルには、サクセサの経路が、FD と同じメトリックで入ります。

R3

R3# show ip route eigrp 

      4.0.0.0/32 is subnetted, 1 subnets
D        4.4.4.4 [90/512] via 192.168.34.4, 01:13:40, FastEthernet0/0.34

R2 から見た FD と AD

R3 は、自分の 4.4.4.4/32 までのメトリック 512 を R2 に広告します。R2 から見ると、この 512 が AD です。R2 から R3 までのメトリックは 256 なので、R2 の FD は 768(256 + 512)になります。

R2

R2# show ip eigrp topology 
EIGRP-IPv4 Topology Table for AS(100)/ID(2.2.2.2)
Codes: P - Passive, A - Active, U - Update, Q - Query, R - Reply,
       r - reply Status, s - sia Status 

P 192.168.23.0/24, 1 successors, FD is 256
        via Connected, FastEthernet0/0.23
P 192.168.34.0/24, 1 successors, FD is 512
        via 192.168.23.3 (512/256), FastEthernet0/0.23
P 4.4.4.4/32, 1 successors, FD is 768
        via 192.168.23.3 (768/512), FastEthernet0/0.23

R2

R2# show ip route eigrp 

      4.0.0.0/32 is subnetted, 1 subnets
D        4.4.4.4 [90/768] via 192.168.23.3, 01:14:19, FastEthernet0/0.23
D     192.168.34.0/24 [90/512] via 192.168.23.3, 01:14:19, FastEthernet0/0.23

R3 にとっての FD(512)が、R2 にとっての AD になっています。このように、ルータは自分の FD を隣のルータに広告し、受け取った側はそれを AD として使います。

メトリックはリンクの向きで違うことがある

メトリックは、宛先へ向かう方向の出力インタフェースの値で計算します。R2 のトポロジテーブルでは 192.168.23.0/24 の FD が 256 ですが、R3 のトポロジテーブルでは同じ 192.168.23.0/24 の FD が 2560 です。R2 と R3 のインタフェースで、メトリックの元になる値が違っているためです。

FD と AD を何に使うか

FD と AD は、最適な経路(サクセサ)を選ぶだけでなく、バックアップの経路(フィージブルサクセサ)を決めるときにも使います。隣のルータの AD が自分の FD より小さければ、その経路はループしないと判断できます。詳しくは フィージブルサクセサ の記事で扱っています。

まとめ

項目R3 から見た値R2 から見た値
AD(隣のルータが広告した距離)256(R4 から)512(R3 から)
FD(自分からの最小の距離)512768
トポロジテーブルの表示(512/256)(768/512)
ルーティングテーブルのメトリック[90/512][90/768]

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