Entra ID – 条件付きアクセス(社外からのみMFA)

「Entra ID – 条件付きアクセスで多要素認証を強制」では、ユーザーがクラウド アプリにアクセスするときに、条件付きアクセスで多要素認証を強制しました。実際の運用では、社内の信頼できるネットワークからのアクセスは多要素認証を省き、ユーザーの手間を減らしたいという要件がよくあります。

この記事では、社内から接続するときの送信元の固定 IP アドレス(この記事では 1.2.3.4 と表記)を信頼し、その IP アドレスからのサインインでは多要素認証を求めないように、条件付きアクセスを変更します。

この記事でわかること
  1. 「多要素認証の信頼済み IP」を設定する手順
  2. 条件付きアクセスの「場所」で、信頼済み IP を対象外にする設定
  3. サインイン ログで、ポリシーが適用されなかった理由を確認する方法

この記事の構成

社内送信元 1.2.3.4社外の Windows 11Entra ID条件付きアクセスM365など多要素認証を要求する多要素認証をスキップ(信頼済み IP からのサインイン)
図1 この記事の構成

ポリシー「MFA強制」の「場所」の条件で、対象を「すべての場所」、対象外を「多要素認証の信頼済み IP」にします。社内(送信元 1.2.3.4)からのサインインは対象外の場所に当たるので、ポリシーが適用されず、多要素認証は求められません。

サインインの送信元 IPMFA 信頼済み IP(対象外の場所)に含まれる?はいいいえポリシーは適用されない多要素認証なしでサインインポリシーを適用多要素認証を要求
図2 「場所」の条件による判定

多要素認証の信頼済み IP を構成する

Microsoft Entra 管理センター(https://entra.microsoft.com/)で、保護 ›› 条件付きアクセス ›› ネームド ロケーション を開き、「多要素認証の信頼済み IP の構成」をクリックします。

多要素認証のサービス設定の画面が開くので、「trusted ips」に、多要素認証をスキップする IP アドレスの範囲を CIDR 形式で入力します。1つの IP アドレスなら /32 を付けます。入力したら「save」をクリックし、完了のメッセージで「close」をクリックします。

画面イメージについて

この記事の画面は、実際の画面ではなく、検証時の画面から設定する項目(見るポイント)を抜き出して描いたイメージです。バージョンによって、項目の並びや表記は変わります。

multi-factor authentication(service settings)画面イメージ
users service settings
trusted ips
Skip multi-factor authentication for requests from federated users on my intranet☐
1Skip multi-factor authentication for requests from following range of IP address subnets1.2.3.4/32
⋮ (中略:verification options など)
2save
図3 多要素認証の信頼済み IP(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1IP アドレスの範囲1.2.3.4/32(社内の送信元の固定 IP)。クラウドの多要素認証では、パブリック IPv4 アドレスの範囲を最大50個まで登録できる
2save設定を保存する

ここで登録した範囲は、条件付きアクセスの場所の一覧に「多要素認証の信頼済み IP」として表示されます。

条件付きアクセスを変更する

前の記事で作成した条件付きアクセスのポリシー「MFA強制」を開き、「条件」の「場所」をクリックします。

場所の条件を構成する

「構成」を「はい」にします。「対象」は「すべての場所」のままにし、「対象外」のタブで「選択された場所」を選びます。「選択」のリンクから「多要素認証の信頼済み IP」を選んで「選択」をクリックします。

Microsoft Entra 管理センター画面イメージ
条件付きアクセス ›› MFA強制 ›› 条件 ›› 場所
1構成◉ はい○ いいえ
対象外
2ポリシーから除外する場所○ すべての信頼できる場所◉ 選択された場所
選択多要素認証の信頼済み IP
条件
デバイス プラットフォーム未構成
3場所すべての場所 かつ 1 件を除く
クライアント アプリ未構成
デバイスのフィルター未構成
4保存
図4 条件付きアクセスの場所の条件(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1構成はい。場所の条件を使う
2対象外選択された場所:多要素認証の信頼済み IP
3場所「すべての場所 かつ 1 件を除く」と表示されれば、信頼済み IP 以外のすべての場所が対象になっている
4保存ポリシーを保存する
現在の推奨:IP 範囲のネームド ロケーション

多要素認証のサービス設定にある信頼済み IP は従来の設定で、IPv4 しか登録できないこともあり、Microsoft Learn では条件付きアクセスの場所(ネームド ロケーション)を使うことが推奨されています。新しく設定する場合は、条件付きアクセス ›› ネームド ロケーション の「IP 範囲の場所」で社内の送信元 IP を登録して「信頼できる場所としてマークする」を有効にし、ポリシーの対象外に「すべての信頼できる場所」(または作成した場所)を指定します。現在の管理センターでは、条件の「場所」は「ネットワーク」という表記になっています。

動作を確認する

Windows 11 のデバイスにユーザーでサインインし、社内(多要素認証の信頼済み IP の 1.2.3.4/32)を経由して、Microsoft 365 のホーム(https://www.office.com/?auth=2)にアクセスします。多要素認証の画面は表示されず、そのままホーム画面が表示されました。

サインイン ログで確認する

Microsoft Entra 管理センターの条件付きアクセスの画面で、監視 ›› サインイン ログ を開きます。先ほどのアクセスのサインイン ログ(アプリケーション:OfficeHome)を開き、「条件付きアクセス」タブをクリックすると、ポリシー「MFA強制」の結果が「適用されていません。」になっていました。

Microsoft Entra 管理センター(サインイン ログ)画面イメージ
アクティビティの詳細 ›› 条件付きアクセス
ポリシー名制御の許可セッション制御結果
1MFA強制多要素認証を要求する適用されていません。
図5 サインイン ログの条件付きアクセス タブ(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

ポリシー名「MFA強制」をクリックすると、条件ごとの判定がわかります。「場所」が「一致しません」となっていて、対象外の場所からのサインインと判定されたため、ポリシーが適用されず、多要素認証が求められなかったことがわかります。

Microsoft Entra 管理センター(サインイン ログ)画面イメージ
条件付きアクセス ›› ポリシーの詳細
ポリシー:MFA強制 ポリシーの状態:有効 結果:適用されていません。
割り当て
ユーザー
(伏せています)
一致しました
アプリケーション
OfficeHome
一致しました
条件
デバイスのプラットフォーム
Windows10
構成されていない
1場所
1.2.3.4
一致しません
クライアント アプリ
Browser
構成されていない
デバイス
(伏せています)
評価されていない
ユーザーのリスク 構成されていない
図6 ポリシーの詳細(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1場所:一致しません送信元 1.2.3.4 は対象外の場所(多要素認証の信頼済み IP)に当たるため、場所の条件に一致しない(赤)。ユーザーとアプリケーションは一致(緑)しているが、すべての条件を満たさないのでポリシーは適用されない

社外の IP アドレスからサインインした場合は、場所の条件に一致してポリシーが適用され、前の記事と同じように多要素認証が求められます。

まとめ

項目今回の設定・ポイント
信頼する IP多要素認証の信頼済み IP:1.2.3.4/32(社内の送信元の固定 IP)
ポリシーMFA強制(前の記事で作成)の「場所」:対象=すべての場所、対象外=多要素認証の信頼済み IP
結果社内からは多要素認証なし、社外からは多要素認証を要求
確認サインイン ログの「条件付きアクセス」タブ(結果と、場所の判定)
これから設定する場合信頼済み IP の代わりに、IP 範囲のネームド ロケーションを信頼できる場所として使う

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