【Fortigate】SD-WAN機能(WAN回線分散)の動作確認 FortiOS 7.01

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読む前にこの記事のポイントを音声で確認できます。この音声は本記事をもとにAIツール(NotebookLM)で自動生成したもので、発音や言い回しが不自然な箇所や、内容の誤りが含まれる可能性があります。理解の補助としてご利用ください。

企業でクラウドサービスの利用が増えるなか、WAN 回線を効率よく使うために SD-WAN の需要が高まっています。FortiGate にも SD-WAN 機能があり、複数の WAN 回線に通信を振り分けたり、回線の品質を見て経路を選んだりできます。この記事では、その設定と動作を確認します。

インターネットへの接続を ISP1 と ISP2 の2回線に収容し、Microsoft 宛ての通信は品質の良い回線へ、それ以外は2回線に分散させます。あわせて、回線障害のときに切り替わることと、SD-WAN と組み合わせた帯域制御も確認します。

この記事でわかること
  1. 2本の WAN 回線を SD-WAN ゾーンにまとめ、パフォーマンス SLA(ヘルスチェック)で監視する
  2. SD-WAN ルールで Microsoft 宛てを品質の良い回線へ送り、それ以外を暗黙のルールで分散する
  3. 回線障害での切り替わりと、トラフィックシェーピングによる帯域制御を確認する
参考

WAN 回線の最適化には、特定のクラウドサービスだけを拠点から直接インターネットへ出すインターネットブレークアウトも有効です。FortiGate での方法は ISDBルーティング(インターネットブレークアウト)FortiOS6.4.2 も参考にしてください。

検証構成

FortiGate の wan1(port3)を ISP1、wan2(port4)を ISP2 につなぎます。LAN(port2)の端末 10.0.200.100 から、インターネットへアクセスします。

Internet10.0.200.100FortiGatelan / port210.0.200.0/24ISP1ISP2wan1 / port310.0.10.0/24wan2 / port410.0.20.0/24.1.1
図1 検証構成

SD-WAN では、wan1 と wan2 を1つの論理インタフェース(SD-WAN ゾーン virtual-wan-link)にまとめます。通信は SD-WAN ルールで判定され、どの回線から出すかが決まります。この記事で作る判定の流れは次のとおりです。

通信lan からvirtual-wan-link へSD-WAN ルール sd-wan-rule1宛先:Microsoft のインターネットサービスベストクオリティ(レイテンシ)SLA:Default_Office_365暗黙のルール sd-wan上のルールに一致しない通信送信元-宛先 IP のハッシュでwan1・wan2 に分散一致不一致virtual-wan-linkwan1(port3)ISP1wan2(port4)ISP2ヘルスチェックで監視
図2 この記事で作る SD-WAN の振り分け
部品役割
SD-WAN ゾーン・メンバーWAN 回線(インタフェース)をまとめた論理インタフェース。ルートやポリシーではこのゾーンを指定する
パフォーマンス SLA回線ごとのヘルスチェック。パケットロス、レイテンシ、ジッターを測り、回線の生死を判断する
SD-WAN ルールどの通信を、どの考え方(戦略)で、どの回線へ送るかを決める
暗黙のルールどの SD-WAN ルールにも一致しない通信の振り分け方(負荷分散のアルゴリズム)

SD-WAN の設定

WAN 回線の設定

WAN 回線として、ISP1 向けの wan1 と ISP2 向けの wan2 を使います。どちらも DHCP で IP アドレスとデフォルトゲートウェイを取得しています。

画面イメージについて

この記事の画面は、実際の画面ではなく、検証時の画面から設定する項目(見るポイント)を抜き出して描いたイメージです。バージョンによって、項目の並びや表記は変わります。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› インターフェース ›› 物理インターフェースの編集(アドレス)
項目wan1 (port3)wan2 (port4)
1アドレッシングモードDHCPDHCP
ステータス 接続済み 接続済み
取得したIP/ネットマスク10.0.10.117/255.255.255.010.0.20.243/255.255.255.0
取得したDNS10.0.0.210.0.0.2
2デフォルトゲートウェイ10.0.10.110.0.20.1
サーバからデフォルトゲートウェイを取得オンオン
ディスタンス55
図3 wan1・wan2 のアドレス設定(実際の画面ではなく、2つの画面の値を並べたイメージです)
No.表示意味
1アドレッシングモードDHCP。緑のアイコンの「接続済み」は、DHCP でアドレスを取得できていることを表す
2デフォルトゲートウェイDHCP で取得したゲートウェイ。wan1 は ISP1 の 10.0.10.1、wan2 は ISP2 の 10.0.20.1

SD-WAN ゾーンにメンバーを登録する

SD-WAN ゾーンに wan1 と wan2 を SD-WAN メンバーとして登録すると、2つの回線をまとめた論理的な SD-WAN インタフェースができます。ネットワーク ›› SD-WAN の SD-WANゾーン タブで 新規作成 ›› SD-WANメンバー をクリックします。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› SD-WANゾーン ›› SD-WANメンバー
1インターフェースwan1 (port3)
2SD-WANゾーンvirtual-wan-link
3ゲートウエイ◉ ダイナミック○ 指定 10.0.10.1
コスト0
ステータス◉ 有効化済み○ 無効化済み
図4 SD-WAN メンバーの登録(wan1)(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1インターフェースwan1 (port3)。wan2 (port4) も同じように登録する
2SD-WANゾーンvirtual-wan-link
3ゲートウエイダイナミック。DHCP で取得したゲートウェイ(wan1 は 10.0.10.1、wan2 は 10.0.20.1)が使われる。ゲートウェイを固定する場合は「指定」を選んで入力する

登録すると、virtual-wan-link の下に wan1 と wan2 が並びます。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› SD-WANゾーン
インターフェースゲートウエイ
⊟ virtual-wan-link
  └ wan1 (port3)10.0.10.1
  └ wan2 (port4)10.0.20.1
図5 SD-WAN ゾーンとメンバー(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

スタティックルートを作る

ネットワーク ›› スタティックルート で 新規作成 をクリックし、SD-WAN の論理インタフェース virtual-wan-link を出力先にしたデフォルトルートを作ります。個々の回線ではなくゾーンを指定することで、どの回線から出すかを SD-WAN ルールに任せられます。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› スタティックルート ›› 新規スタティックルート
自動ゲートウェイ検索○ オフ
1宛先◉ サブネット○ インターネットサービス
0.0.0.0/0.0.0.0
2インターフェースvirtual-wan-link
ステータス◉ 有効化済み○ 無効化済み
図6 デフォルトルートの作成(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)

パフォーマンス SLA(ヘルスチェック)を設定する

SD-WAN ゾーンに登録した WAN 回線が正常に使えるかを確かめるヘルスチェックを設定します。ネットワーク ›› SD-WAN の パフォーマンスSLA タブを開くと、よく使う宛先向けのヘルスチェックがあらかじめ用意されています。初期状態では、どれも参加インタフェースがないので動いていません。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› パフォーマンスSLA
名前サーバ検知パケットロスレイテンシジッター
Default_AWShttp://aws.amazon.com/
Default_DNS208.91.112.53
208.91.112.52
(システムDNS)
Default_FortiGuardhttp://fortiguard.com/
Default_Gmailgmail.com
Default_Google Searchhttp://www.google.com/
1Default_Office_365http://www.office.com/
図7 あらかじめ用意されたパフォーマンス SLA(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

今回は、いちばん下の Default_Office_365 を使います。クリックして編集画面を開き、参加インタフェースに wan1 と wan2 を追加します。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› パフォーマンスSLA ›› パフォーマンスSLAの編集
名前Default_Office_365
プローブモード◉ アクティブ○ パッシブ○ 優先パッシブ
プロトコル○ Ping◉ HTTP○ DNS
サーバwww.office.com
1参加インターフェース○ すべてのSD-WANメンバー◉ 指定
wan1 (port3)、wan2 (port4)
図8 Default_Office_365 の編集(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)

少し待つと、ヘルスチェックの結果が表示されます。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› パフォーマンスSLA
名前 / サーバ検知パケットロスレイテンシジッター
Default_Office_365
http://www.office.com/
wan1 (port3): 0.00%
wan2 (port4): 0.00%
1wan1 (port3): 6.03ms
wan2 (port4): 6.47ms
wan1 (port3): 0.55ms
wan2 (port4): 0.78ms
図9 Default_Office_365 のヘルスチェック結果(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

緑のアイコンは、その回線でヘルスチェックが成功していることを表します。回線ごとのパケットロス、レイテンシ、ジッターが表示されます。

独自のヘルスチェックを追加する

用意されたものを使わずに、ヘルスチェックを自分で追加することもできます。ここでは、Google の 8.8.8.8 へ ping を送るヘルスチェックを追加します。ネットワーク ›› SD-WAN の パフォーマンスSLA タブで 新規作成 をクリックします。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› パフォーマンスSLA ›› 新規パフォーマンスSLA
1名前ping_google
2プローブモード◉ アクティブ○ パッシブ○ 優先パッシブ
3プロトコル◉ Ping○ HTTP○ DNS
4サーバ8.8.8.8
5参加インターフェース○ すべてのSD-WANメンバー◉ 指定
wan1 (port3)、wan2 (port4)
SLAターゲット ☑
6レイテンシしきい値☑ 5 ms
ジッターしきい値☑ 5 ms
パケットロスしきい値☑ 0 %
リンクステータス
7チェック間隔500 ms
非アクティブまでの失敗回数5
リンク回復までの回数5 check(s)
図10 独自のヘルスチェック ping_google の作成(実際の画面ではなく、3つに分かれた画面の設定項目をまとめたイメージです)
No.項目設定内容
1名前任意。今回は ping_google
2プローブモードアクティブ。FortiGate がヘルスチェックのパケットを送る。パッシブは自分では送らず、実際に流れている通信から回線の状態を測る
3プロトコルPing
4サーバヘルスチェックの宛先。8.8.8.8
5参加インターフェース指定を選び、wan1 と wan2 を選ぶ。今回はメンバーがこの2つだけなので、「すべてのSD-WANメンバー」でもかまわない
6SLAターゲット回線が満たすべき品質の基準(レイテンシ、ジッター、パケットロスのしきい値)。最小コスト(SLA) や帯域幅の最大化(SLA) の戦略で使う。回線の生死を見るだけなら設定しなくてよい
7リンクステータスヘルスチェックの送信間隔。既定は 500ms ごとで、5回続けて失敗すると回線を非アクティブと判断し、5回成功すると回復と判断する

OK をクリックすると、ヘルスチェックの結果が表示されます。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› パフォーマンスSLA
名前サーバ検知パケットロスレイテンシジッター
ping_google8.8.8.8 wan1 (port3): 0.00%
wan2 (port4): 0.00%
wan1 (port3): 2.23ms
wan2 (port4): 2.23ms
wan1 (port3): 0.04ms
wan2 (port4): 0.06ms
図11 ping_google のヘルスチェック結果(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

SD-WAN ルールを作る

どこからどこへの通信を、どの回線にどう振り分けるかを SD-WAN ルールで決めます。ここでは、すべての送信元から Microsoft 関連のサービスへの通信を、パフォーマンスの良い回線へ送るルールを作ります。ネットワーク ›› SD-WAN の SD-WANルール タブで 新規作成 をクリックします。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› SD-WANルール ›› 新規作成
1名前sd-wan-rule1
送信元
2送信元アドレスall
ユーザグループ 
宛先
アドレス 
3インターネットサービスMicrosoft-Azure
Microsoft-DNS
Microsoft-Dynamics
Microsoft-FTP
⋮
Microsoft-Office365
⋮
Microsoft-Skype_Teams
⋮
Microsoft-WNS

Microsoft で検索した 25 件をすべて登録
発信インターフェース
4戦略○ マニュアル
◉ ベストクオリティ
○ 最小コスト(SLA)
○ 帯域幅の最大化(SLA)
5優先するインターフェースwan1 (port3)、wan2 (port4)
Zone preference 
6計測されたSLADefault_Office_365
クオリティ基準レイテンシ
順方向DSCP・逆方向DSCP○ オフ
ステータス◉ 有効○ 無効
図12 SD-WAN ルールの作成(実際の画面ではなく、複数の画面の設定項目をまとめたイメージです)
No.項目設定内容
1名前任意。今回は sd-wan-rule1
2送信元アドレスall
3インターネットサービス「Microsoft」で検索し、出てきたものをすべて登録する。インターネットサービスは、サービスごとの宛先 IP アドレスなどを FortiGuard がまとめたデータベース
4戦略ベストクオリティ(既定)。計測したパフォーマンスが最も良いインタフェースを選ぶ
5優先するインターフェースwan1 と wan2
6計測されたSLA・クオリティ基準Default_Office_365 の結果を使い、レイテンシで比べる

発信インターフェースの戦略は、次の4つから選べます。

戦略回線の選び方
マニュアル発信インタフェースを手動で決める
ベストクオリティ計測したパフォーマンス(今回はレイテンシ)が最も良いインタフェースを選ぶ
最小コスト(SLA)SLA ターゲットを満たすインタフェースを選ぶ。満たすものが複数あれば、コストが最も低いものを選ぶ
帯域幅の最大化(SLA)SLA ターゲットを満たすインタフェースの間で負荷分散する

OK をクリックすると、ルールの一覧に登録されます。メンバー欄の ✔ は、いま選ばれているインタフェースを表します。この画面では wan2 に付いていますが、レイテンシは常に計測し直されるので、選ばれるインタフェースは変わります。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› SD-WANルール
ID名前送信元宛先基準メンバー
1sd-wan-rule1allMicrosoft-Azure
Microsoft-DNS
Microsoft-Dynamics
Microsoft-FTP
+21
レイテンシwan1 (port3)
1wan2 (port4) ✔
図13 SD-WAN ルールの一覧(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

暗黙のルールを設定する

作った SD-WAN ルールのどれにも一致しない通信には、一覧のいちばん下にある暗黙のルール sd-wan が適用されます。暗黙のルールをクリックすると、負荷分散のアルゴリズムを選べます。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› SD-WANルール ›› 暗黙ルールの編集
ID名前送信元宛先基準メンバー
1sd-wan-rule1allMicrosoft-Azure ほかレイテンシwan1 (port3)
wan2 (port4)
(暗黙)1sd-wanallall送信元-宛先IPany
2ロードバランスアルゴリズム○ 送信元IP○ セッション○ スピルオーバー◉ 送信元-宛先IP○ 通信量
図14 暗黙のルールの負荷分散アルゴリズム(実際の画面ではなく、変更後の一覧と編集画面をまとめたイメージです)
アルゴリズム振り分け方
送信元IP(既定)送信元 IP アドレスのハッシュで回線を決める。同じ送信元の通信は同じ回線を使う
セッション回線ごとのウェイトの割合で、セッション数を振り分ける(今回の画面ではウェイトは wan1・wan2 とも 1)
スピルオーバー1本目の回線を使い、指定したしきい値(kbps)を超えたら次の回線を使う
送信元-宛先IP送信元と宛先の IP アドレスの組み合わせのハッシュで回線を決める
通信量回線ごとのウェイトの割合で、通信量を振り分ける

既定の送信元IP では、送信元が1台だけだとすべての通信が同じ回線に乗ります。今回は端末1台から分散の様子を見たいので、送信元-宛先IP を選びました。

ファイアウォールポリシーを作る

発信インタフェースに virtual-wan-link を指定して、SD-WAN インタフェースから出るポリシーを作ります。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ポリシー&オブジェクト ›› ファイアウォールポリシー ›› 新規ポリシー
名前sd-wan
着信インターフェースlan (port2)
1発信インターフェースvirtual-wan-link
送信元・宛先all all
スケジュール・サービスalways ALL
アクション◉ 許可○ 拒否
インスペクションモード◉ フローベース○ プロキシベース
図15 ファイアウォールポリシーの作成(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)

今回は検証のためにアプリケーションを識別したいので、SSL インスペクション(certificate-inspection)とアプリケーションコントロールを有効にし、トラフィックログもすべて取るようにしました。作成後のポリシー一覧は次のとおりです。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ポリシー&オブジェクト ›› ファイアウォールポリシー
名前FromTo送信元 / 宛先 / サービスアクションNATセキュリティ
プロファイル
ログ
sd-wanlan (port2)virtual-wan-linkall / all / ALL✔ 許可 有効化済みAPP default
SSL certificate-inspection
すべて
図16 ポリシーの一覧(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

インターネットへ出る通信なので、NAT は有効です。端末のアドレスは、出ていく回線(wan1 または wan2)のアドレスに変換されます。

回線分散の確認

端末から Microsoft のサイトなど複数のサイトへ接続し、ログ&レポート ›› 転送トラフィック でトラフィックログを確認します(表示する列は変更しています)。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ログ&レポート ›› 転送トラフィック
宛先宛先
インターフェース
SD-WAN
インターネットサービス
アプリケーション名SD-WAN
ルール
SD-WAN
クオリティ
35.213.89.114wan2 (port4)HTTPS.BROWSER
104.77.216.121wan2 (port4)HTTPS.BROWSER
1104.77.216.121wan2 (port4)HTTPS.BROWSER
103.43.90.117wan1 (port3)HTTPS.BROWSER
20.190.141.35wan1 (port3)Microsoft-AzureMicrosoft.Authenticationsd-wan-rule1Seq_num(1 port3), alive, latency: 6.021, selected
⋮ (中略)
240.115.247.6wan1 (port3)Microsoft-AzureHTTPS.BROWSERsd-wan-rule1Seq_num(1 port3), alive, latency: 6.021, selected
40.115.247.6wan1 (port3)Microsoft-AzureHTTPS.BROWSERsd-wan-rule1Seq_num(1 port3), alive, latency: 6.021, selected
図17 転送トラフィックのログ(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1Microsoft 以外への通信SD-WAN ルール欄が空で、暗黙のルールが適用されている。宛先インタフェースが wan1 と wan2 に分かれている
2Microsoft への通信sd-wan-rule1 が適用されている。SD-WAN クオリティの欄から、レイテンシ(6.021)を計測して port3(wan1)が選ばれた(selected)ことがわかる

回線障害

ISP1(wan1 側)に障害を起こし、ISP2(wan2 側)へ経路が切り替わることを確認します。回線に障害が起きるとヘルスチェックが失敗し、その回線は振り分けの対象から外れます。

障害の発生

まず、端末から ping 8.8.8.8 を打ち続け、トラフィックログで wan1 から送られていることを確認しておきます。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ログ&レポート ›› 転送トラフィック
宛先宛先インターフェースアプリケーション名
8.8.8.81wan1 (port3)Ping
図18 障害前の ping のログ(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

では、wan1 側の回線をダウンさせます。

Internet10.0.200.100FortiGatelan / port210.0.200.0/24ISP1ISP2wan1 / port310.0.10.0/24wan2 / port410.0.20.0/24.1.1
図19 wan1 側(ISP1)の回線をダウンさせる

端末の ping は、一時的に途切れたあと復旧します。

端末のコマンドプロンプト(ping 8.8.8.8)画面イメージ
⋮8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=1038.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=1031要求がタイムアウトしました。要求がタイムアウトしました。要求がタイムアウトしました。8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =3ms TTL=1038.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=103⋮
図20 回線ダウン時の ping(実際の画面ではなく、表示内容のポイントを抜き出したイメージです)

タイムアウトは3回で、その後は応答が戻っています。Windows の ping は1回あたり既定で4秒まで応答を待つので、途切れていたのはおよそ十数秒です。

ネットワーク ›› SD-WAN の パフォーマンスSLA タブでヘルスチェックの状態を見ると、wan1 がダウンしています。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› パフォーマンスSLA
名前 / サーバ検知パケットロスレイテンシジッター
Default_Office_365
http://www.office.com/
1wan1 (port3):
wan2 (port4): 0.00%
wan1 (port3):
wan2 (port4): 6.33ms
wan1 (port3):
wan2 (port4): 0.54ms
図21 障害時のヘルスチェック(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

赤のアイコンは、wan1 でヘルスチェックが失敗していることを表します。トラフィックログでも、宛先インタフェースが wan2 に変わっています。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ログ&レポート ›› 転送トラフィック
宛先宛先インターフェースアプリケーション名
8.8.8.81wan2 (port4)Ping
図22 障害後の ping のログ(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

障害からの復旧

wan1 の回線を復旧させます。ヘルスチェックを見ると、レイテンシとジッターは正常な表示に戻ります。パケットロスは、障害中に失敗した分が残っているため、まだ高い値です。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› パフォーマンスSLA
名前 / サーバ検知パケットロスレイテンシジッター
Default_Office_365
http://www.office.com/
1wan1 (port3): 86.00%
wan2 (port4): 0.00%
wan1 (port3): 6.61ms
wan2 (port4): 6.87ms
wan1 (port3): 0.61ms
wan2 (port4): 1.52ms
図23 復旧直後のヘルスチェック(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

しばらくすると、wan1 のパケットロスも 0% になります。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ネットワーク ›› SD-WAN ›› パフォーマンスSLA
名前 / サーバ検知パケットロスレイテンシジッター
Default_Office_365
http://www.office.com/
1wan1 (port3): 0.00%
wan2 (port4): 0.00%
wan1 (port3): 6.14ms
wan2 (port4): 6.35ms
wan1 (port3): 0.49ms
wan2 (port4): 0.69ms
図24 しばらく後のヘルスチェック(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)

帯域制御

SD-WAN と帯域制御を組み合わせることもよくあります。重要なアプリケーションには最低保証の帯域を設定し、優先度の低いアプリケーションには最大帯域を設定して、帯域や通信品質を確保します。

ここでは動作を見るために、実務ではありえない設定ですが、Microsoft 宛ての通信の上限を 100kbps にして、ほかのアプリケーションを守る形を試します。

トラフィックシェーパーを作る

ポリシー&オブジェクト ›› トラフィックシェーピング の トラフィックシェーパー タブで 新規作成 をクリックし、100kbps を上限にするシェーパーを作ります。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ポリシー&オブジェクト ›› トラフィックシェーピング ›› 新規トラフィックシェーパー
1タイプ◉ 共有○ Per IPシェイパー
名前Max_100kbps
サービス品質
2トラフィック優先度Low
帯域幅の単位kbps
最大帯域幅☑ 100 kbps
保証帯域幅○ オフ
DSCP○ オフ
図25 トラフィックシェーパーの作成(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1タイプ・名前共有(シェーパーに一致する通信全体で帯域を分け合う)。名前は任意で、今回は Max_100kbps
2サービス品質トラフィック優先度 Low、帯域幅の単位 kbps、最大帯域幅 100kbps

トラフィックシェーピングポリシーを作る

次に、Microsoft 宛ての通信を 100kbps に抑えるトラフィックシェーピングポリシーを作ります。ポリシー&オブジェクト ›› トラフィックシェーピング の トラフィックシェーピングポリシー タブで 新規作成 をクリックします。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ポリシー&オブジェクト ›› トラフィックシェーピング ›› 新規トラフィックシェーピングポリシー
1名前Microsoft_Max_100kbps
ステータス◉ 有効化済み○ 無効化済み
トラフィックが一致する場合
2送信元all
宛先Microsoft-Azure
Microsoft-DNS
⋮
Microsoft-WNS

SD-WAN ルールと同じ Microsoft のインターネットサービス 25 件
アクション
3発信インターフェースvirtual-wan-link
Apply shaper☑ オン
共有シェイパー○ オフ
4逆方向シェイパー☑ Max_100kbps
Per-IPシェイパー○ オフ
図26 トラフィックシェーピングポリシーの作成(実際の画面ではなく、3つに分かれた画面の設定項目をまとめたイメージです)
No.項目設定内容
1名前任意。今回は Microsoft_Max_100kbps
2送信元・宛先送信元は all、宛先は Microsoft のインターネットサービス
3発信インターフェースSD-WAN インタフェースの virtual-wan-link
4逆方向シェイパーMax_100kbps。戻りの方向(サーバから端末へのダウンロード)に適用される。共有シェイパーは行きの方向(アップロード)に適用される

端末から Microsoft 関連のサイトへアクセスすると、明らかにレスポンスが落ちます。トラフィックシェーパーの画面を見ると、利用帯域幅が上限近くに抑えられ、超えた分のパケットがドロップされていることがわかります。

FortiGate 管理画面画面イメージ
ポリシー&オブジェクト ›› トラフィックシェーピング
名前保証帯域幅最大帯域幅利用帯域幅ドロップしたバイト数
Max_100kbps100.00 kbps195.66 kbps2219.41 kB
図27 トラフィックシェーパーの利用状況(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1利用帯域幅 95.66 kbps上限の 100kbps 近くまで使われている
2ドロップしたバイト数 219.41 kB上限を超えて捨てられたデータ量

うまくいかないとき

状態よくある原因確認すること
パフォーマンス SLA に結果が出ない参加インターフェースが選ばれていないパフォーマンス SLA の編集画面で、wan1・wan2 が参加しているかを見る
Microsoft 宛てに SD-WAN ルールが適用されない宛先のインターネットサービスに一致していない、ルールが無効トラフィックログの「SD-WANルール」「SD-WANインターネットサービス」の列を見る
端末1台からだと片方の回線しか使われない暗黙のルールが送信元IP のハッシュになっている暗黙のルールのアルゴリズムを確かめる(送信元IP では同じ送信元は同じ回線になる)
回線障害のとき切り替わらないその回線を監視するヘルスチェックがないパフォーマンス SLA で障害回線が赤(ダウン)になっているかを見る
シェーパーが効かないシェーピングポリシーの条件や発信インタフェースが合っていない、逆方向と順方向の取り違えトラフィックシェーパーの画面で利用帯域幅とドロップ数が増えているかを見る

まとめ

2本の WAN 回線を SD-WAN ゾーンにまとめ、Microsoft 宛てはレイテンシの良い回線へ、それ以外は2回線へ分散できることを確認しました。wan1 に障害が起きると wan2 に切り替わり、トラフィックシェーピングで特定の通信の帯域も抑えられました。設定した項目をまとめます。

設定今回の値
WAN 回線wan1 (port3)・wan2 (port4)、どちらも DHCP
SD-WAN ゾーン・メンバーvirtual-wan-link に wan1・wan2(ゲートウェイはダイナミック)
スタティックルート0.0.0.0/0 → virtual-wan-link
パフォーマンス SLADefault_Office_365(HTTP、www.office.com)、ping_google(Ping、8.8.8.8)
SD-WAN ルールsd-wan-rule1:送信元 all、宛先 Microsoft のインターネットサービス、ベストクオリティ(レイテンシ、Default_Office_365)
暗黙のルール送信元-宛先IP
ファイアウォールポリシーsd-wan:lan → virtual-wan-link、NAT 有効
帯域制御シェーパー Max_100kbps(共有、Low、最大 100kbps)、シェーピングポリシー Microsoft_Max_100kbps(逆方向シェイパー)
現在の状況

この記事は FortiOS 7.0.1 で検証しました。FortiOS 7.0 系はすでにサポートが終了しています。新しいバージョンでは、画面の項目名や配置、SD-WAN の設定の一部が変わっています。

IPsec トンネルを SD-WAN のメンバーにして、パフォーマンス SLA を使った SD-WAN ルールを適用する手順は、【Fortigate】IPSec + SD-WAN機能の動作確認 で紹介しています。

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