通常、EIGRPのHelloパケットはマルチキャストである224.0.0.10宛に送信されますが、それを特定のユニキャストのみに送信するよう設定変更することができます。
以下の構成例を元に、EIGRPのHelloパケットをユニキャストで送信してみます。
EIGRPの基本設定は以下の記事を参考にしてください。
>> 参考 : 基本設定とネイバー・ルーティングテーブルの確認R2(config)# router eigrp 100 R2(config-router)# network 2.2.2.2 0.0.0.0 R2(config-router)# network 192.168.23.0
R3(config)# router eigrp 100 R3(config-router)# network 3.3.3.3 0.0.0.0 R3(config-router)# network 192.168.23.0
この状態で、EIGRPのHelloパケットを確認すると、マルチキャスト224.0.0.10宛にパケットが送信されていることがわかります。
では、R2でHelloパケットをユニキャストで送信するよう、neighborコマンドでネイバーを指定します。まず、R2のみネイバー設定をします。出力インタフェースを指定する必要があります。
R2(config)# router eigrp 100 R2(config-router)# neighbor 192.168.23.3 fastEthernet 0/0.23 %DUAL-5-NBRCHANGE: EIGRP-IPv4 100: Neighbor 192.168.23.3 (FastEthernet0/0.23) is down: Static peer replaces multicast
ネイバーがダウンします。R3側でdebug eigrp packetを確認します。
R3# debug eigrp packets
(UPDATE, REQUEST, QUERY, REPLY, HELLO, IPXSAP, PROBE, ACK, STUB,
SIAQUERY, SIAREPLY)
EIGRP Packet debugging is on
R3#
*Sep 22 06:38:19.527: EIGRP: Received HELLO on Fa0/0.23 - paklen 20 nbr 192.168.23.2
*Sep 22 06:38:19.527: AS 100, Flags 0x0:(NULL), Seq 0/0 interfaceQ 0/0
*Sep 22 06:38:19.527: {type = 1, length = 12}
R3#
*Sep 22 06:38:19.527: {vector = {
*Sep 22 06:38:19.527: {01000100 0000000F}
*Sep 22 06:38:19.527: }
*Sep 22 06:38:19.527: {type = 4, length = 8}
*Sep 22 06:38:19.527: {vector = {
*Sep 22 06:38:19.527: {0A000200}
*Sep 22 06:38:19.527: }
*Sep 22 06:38:19.527: EIGRP: Ignore unicast Hello from FastEthernet0/0.23 192.168.23.2
R2からマルチキャストのHelloパケットは送信されておらず、ユニキャストでのみ送信されていることがわかります。また、R3はユニキャストのHelloパケットを無視しています。
R3でもneighborコマンドでネイバーを指定します。
R3(config)# router eigrp 100 R3(config-router)# neighbor 192.168.23.2 fastEthernet 0/0.23 %DUAL-5-NBRCHANGE: EIGRP-IPv4 100: Neighbor 192.168.23.2 (FastEthernet0/0.23) is up: new adjacency
隣接関係になりました。 Helloパケットを確認すると、TTL=1でユニキャストとして送信されていることがわかります。
neighborコマンドで指定したインタフェースからはマルチキャストでのHelloは送信されなくなります。そのため、指定したインタフェース上で複数のEIGRPルータが存在する場合は、全てのルータでneighborコマンドが必要となります。
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