Active Directory で管理しているユーザーやコンピューターなどのオブジェクトを誤って削除すると、簡単には元に戻せません。ごみ箱機能を有効にしておくと、削除したオブジェクトを一定期間、削除する前の状態のまま復元できます。この記事では、Windows Server 2019 でごみ箱機能を有効にし、誤って削除したユーザーを復元する手順を確認します。
- Active Directory 管理センターで、ごみ箱を有効にする手順
- 削除したユーザーを Deleted Objects から復元する手順
- 復元したユーザーが、削除する前と同じ SID のまま戻ること
ごみ箱機能とは
ごみ箱機能(Active Directory ごみ箱)を有効にすると、削除したオブジェクトは、すぐには消えずに Deleted Objects コンテナーに入ります。保持される期間の間は、グループのメンバーシップなどの属性を保ったまま復元できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 既定の状態 | 無効。有効にすると、無効に戻せない |
| 前提条件 | フォレストとドメインの機能レベルが Windows Server 2008 R2 以上 |
| 復元できるもの | ごみ箱を有効にしたあとに削除したオブジェクトだけ。有効にする前に削除したものは復元できない |
| 保持期間 | msDS-deletedObjectLifetime 属性で決まる。既定では tombstoneLifetime と同じで、新しいフォレストでは 180 日 |
ごみ箱機能の有効化
Active Directory 管理センターを開く
ドメインコントローラーで、サーバーマネージャー ›› ツール ›› Active Directory 管理センター をクリックします。
ごみ箱を有効にする
左のペインでドメイン(今回は hirotanoblog.local)を選び、右のタスク ペインの[ごみ箱の有効化]をクリックします。
| hirotanoblog (ローカル) |
|---|
| ドメイン コントローラーの変更 |
| フォレストの機能レベルの昇格… |
| ドメインの機能レベルの昇格… |
| 1ごみ箱の有効化… |
| 新規 |
| このノード配下の検索 |
ごみ箱を一度有効にすると、無効にはできないことが表示されます。[OK]をクリックします。
続いて、変更がすべてのドメインコントローラーに複製されるまで、ごみ箱が正しく動かないことが表示されます。[OK]をクリックします。
Active Directory 管理センターを更新すると、[ごみ箱の有効化]がグレーアウトし、選べなくなっています。これで、ごみ箱が有効になりました。
動作確認
営業部 OU(その下のユーザ OU)にあるユーザー yamada(山田 一郎)を誤って削除したことにして、復元してみます。
削除する前の SID を確認する
削除したユーザーが本当に元どおりに復元されたかを確かめるために、yamada の SID(Security Identifier、セキュリティ識別子)を確認しておきます。SID は、ユーザーを内部で見分けるための番号で、同じ名前のユーザーを作り直しても同じ SID にはなりません。
コマンドプロンプトで wmic useraccount get name,sid を実行すると、ユーザーの SID の一覧が表示されます。
C:¥Users¥Administrator>wmic useraccount get name,sidName SIDAdministrator S-1-5-21-(伏せています)-500Guest S-1-5-21-(伏せています)-501krbtgt S-1-5-21-(伏せています)-5021yamada S-1-5-21-(伏せています)-1103
検証では WMIC を使いましたが、WMIC は Windows 10 バージョン 21H1 以降で非推奨になり、Windows 11 バージョン 24H2 以降では削除されています。Windows Server 2025 では Feature on Demand として追加でき、将来のリリースで削除される予定です。これから確認するときは、PowerShell の Get-ADUser yamada などで SID を確認できます。
ユーザーを削除する
[Active Directory ユーザーとコンピューター]で、hirotanoblog.local ›› 営業部 ›› ユーザ の山田 一郎を右クリックし、[削除]をクリックします。確認が表示されるので、[はい]をクリックします。
ユーザ OU の一覧から、山田 一郎が消えます。コマンドプロンプトで wmic useraccount get name,sid を実行すると、yamada が削除されていることも確認できます。
C:¥Users¥Administrator>wmic useraccount get name,sidName SIDAdministrator S-1-5-21-(伏せています)-500Guest S-1-5-21-(伏せています)-501krbtgt S-1-5-21-(伏せています)-502
オブジェクトを復元する
削除したオブジェクトは、Active Directory 管理センターから復元できます。Active Directory 管理センターでドメインを選び、Deleted Objects を開きます。
| 名前 | 種類 | 説明 |
|---|---|---|
| Builtin | builtinDom… | |
| Computers | コンテナー | Default container for upgr… |
| 1Deleted Objects | コンテナー | Default container for deleted objects |
| Domain Controllers | 組織単位 | Default container for dom… |
先ほど削除した山田 一郎が表示されています。選んで右クリックし、[復元]をクリックします。
| 名前 | 削除するとき | 最後に確認された親 |
|---|---|---|
| 山田 一郎 | 2/21/2021 2:44… | OU=ユーザ,OU=営業部,DC=hirotanoblog,DC=loca… |
| メニュー | 意味 |
|---|---|
| 復元 | 最後に確認された親(元の OU)に戻す |
| 復元先… | 復元する場所を選んで戻す |
[復元]をクリックすると、Deleted Objects の一覧から消えます。
復元されたことを確認する
[Active Directory ユーザーとコンピューター]を見ると、山田 一郎が元の OU(営業部のユーザ)に戻っています。
| 名前 | 種類 |
|---|---|
| 1山田 一郎 | ユーザー |
コマンドプロンプトでも、yamada が削除する前と同じ SID で復元されていることが確認できます。
C:¥Users¥Administrator>wmic useraccount get name,sidName SIDAdministrator S-1-5-21-(伏せています)-500Guest S-1-5-21-(伏せています)-501krbtgt S-1-5-21-(伏せています)-5021yamada S-1-5-21-(伏せています)-1103
SID が同じなので、yamada に付けていたアクセス許可やグループのメンバーシップも、そのまま使えます。ユーザーを作り直した場合は SID が変わるので、アクセス許可などを付け直す必要があります。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ごみ箱の有効化 | Active Directory 管理センターでドメインを選び、[ごみ箱の有効化]。一度有効にすると無効にできない |
| 削除したとき | オブジェクトは Deleted Objects に入る。既定では 180 日間、属性を保ったまま残る |
| 復元 | Deleted Objects でオブジェクトを右クリックし、[復元](元の場所)または[復元先…] |
| 確認 | 復元したユーザーは、削除する前と同じ SID |
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