Fortigateで、VLANトランクの設定と動作を確認します。今回は、VLANをハードウェアスイッチ上に作成します。
この記事でわかること- ハードウェアスイッチ上にVLANインタフェースを作る手順(ハードウェアスイッチ自体のIPアドレスは外す)
- FortigateとCiscoのL2スイッチの間のトランクポート、端末側のアクセスポートの設定
- VLAN間の通信には、ハードウェアスイッチではなくVLANインタフェースを指定したポリシーが必要なこと
- 同じハードウェアスイッチの中でも、VLANが違えばポリシーが必要なこと
構成
新しくハードウェアスイッチ(HW-Switch-4-5)を作成し、Port4とPort5を割り当てます。Port1、Port2、Port3は、デフォルトのinternalのままです。
VLANは次の4つを設定します。internalにVLAN100と200、HW-Switch-4-5にVLAN300と400を割り当てます。
| VLAN | ネットワーク | FortigateのIPアドレス | 所属するハードウェアスイッチ |
|---|
| VLAN100 | 192.168.1.0/24 | 192.168.1.99/24 | internal |
| VLAN200 | 192.168.2.0/24 | 192.168.2.99/24 | internal |
| VLAN300 | 192.168.3.0/24 | 192.168.3.99/24 | HW-Switch-4-5 |
| VLAN400 | 192.168.4.0/24 | 192.168.4.99/24 | HW-Switch-4-5 |
図1 検証の構成(Port1とPort5にL2スイッチを接続)
図のように、CiscoのL2スイッチと端末を接続し、端末間の疎通を確認します。
設定
ハードウェアスイッチのIPアドレスを外す
今回の構成では、IPアドレスをVLANインタフェースに付けます。そのため、ハードウェアスイッチ(internalとHW-Switch-4-5)に付いているIPアドレスは外します。アドレッシングモードをDHCPにします。
画面イメージについてこの記事の画面は、実際の画面ではなく、検証時の画面から設定する項目(見るポイント)を抜き出して描いたイメージです。バージョンによって、項目の並びや表記は変わります。端末のユーザー名は伏せています。
FortiGate 設定画面(GUI)画面イメージ
ネットワーク ›› インタフェース ›› internalの編集
| インターフェース名 | internal |
| エイリアス | |
| タイプ | ハードウェアスイッチ |
| インターフェースメンバー | internal1 ✖ internal2 ✖ internal3 ✖ |
| ⋮ (中略) |
| ロール | LAN |
アドレス
| 1アドレッシングモード | ○ マニュアル◉ DHCP○ PPPoE |
図2 internal(ハードウェアスイッチ)の編集画面(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 項目 | 設定内容 |
|---|
| 1 | アドレッシングモード | DHCPを選ぶ。IPアドレスは使わない |
VLANインタフェースの追加
VLANインタフェースとして、VLAN100(VLAN番号:100)を追加します。このVLANインタフェースは、internalというデフォルトのハードウェアスイッチに割り当てます。
ネットワーク ›› インタフェース から、新規作成 ›› インターフェース をクリックします。
FortiGate 設定画面(GUI)画面イメージ
ネットワーク ›› インタフェース ›› 新規インターフェース
| 1インターフェース名 | VLAN100 |
| エイリアス | |
| 2タイプ | VLAN |
| 3インターフェース | internal |
| 4VLAN ID | 100 |
| ⋮ (中略) |
アドレス
| アドレッシングモード | ◉ マニュアル○ DHCP○ PPPoE |
| 5IP/ネットワークマスク | 192.168.1.99/24 |
管理者アクセス
| 6IPv4 | ☐ HTTPS☐ HTTP☐ FMGアクセス☐ CAPWAP☐ SSH☐ SNMP☐ FTM☐ RADIUSアカウンティング☐ FortiTelemetry☑ PING |
OKキャンセル
図3 VLANインタフェース(VLAN100)の新規作成画面(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 項目 | 設定内容 |
|---|
| 1 | インターフェース名 | 任意の名称。VLAN番号が分かるように VLAN100 とする |
| 2 | タイプ | VLAN を選ぶ |
| 3 | インターフェース | ハードウェアスイッチである internal を選ぶ |
| 4 | VLAN ID | VLAN番号である 100 を設定する |
| 5 | IP/ネットワークマスク | IPアドレスである 192.168.1.99/24 を設定する |
| 6 | 管理者アクセス | 任意。疎通確認のために PING を許可する |
補足VLAN IDとして使える範囲は1〜4094です。同じVLAN番号を、同じ物理インタフェースに2回設定することはできません。
ハードウェアスイッチinternalに、VLAN100が所属していることが確認できます。
FortiGate 設定画面(GUI)画面イメージ
ハードウェアスイッチ (4)
| 名前 | メンバー | IP/ネットマスク | タイプ |
|---|
| fortilink | A B | FortiSwitchにデディケート | ハードウェアスイッチ (2) |
| HW-Switch-4-5 | 4 5 | 192.168.2.99 255.255.255.0 | ハードウェアスイッチ (2) |
| internal | 1 2 3 | 0.0.0.0 0.0.0.0 | ハードウェアスイッチ (3) |
| 1 └ VLAN100 | | 192.168.1.99 255.255.255.0 | VLAN |
図4 インタフェースの一覧。internalの下にVLAN100が表示される(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 表示 | 意味 |
|---|
| 1 | VLAN100 | internalの下に、VLANインタフェースとして表示される。IPアドレスはVLANインタフェースに付いている |
同様に、VLAN200〜VLAN400を設定します。
FortiGate 設定画面(GUI)画面イメージ
ハードウェアスイッチ (7)
| 名前 | メンバー | IP/ネットマスク | タイプ |
|---|
| fortilink | A B | FortiSwitchにデディケート | ハードウェアスイッチ (2) |
| 1HW-Switch-4-5 | 4 5 | 0.0.0.0 0.0.0.0 | ハードウェアスイッチ (2) |
| └ VLAN300 | | 192.168.3.99 255.255.255.0 | VLAN |
| └ VLAN400 | | 192.168.4.99 255.255.255.0 | VLAN |
| 2internal | 1 2 3 | 0.0.0.0 0.0.0.0 | ハードウェアスイッチ (3) |
| └ VLAN100 | | 192.168.1.99 255.255.255.0 | VLAN |
| └ VLAN200 | | 192.168.2.99 255.255.255.0 | VLAN |
図5 VLAN100〜400を設定したあとのインタフェース一覧(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 表示 | 意味 |
|---|
| 1 | HW-Switch-4-5 | IPアドレスは 0.0.0.0。VLAN300とVLAN400が所属している |
| 2 | internal | IPアドレスは 0.0.0.0。VLAN100とVLAN200が所属している |
L2スイッチ側の設定
Fortigateへ接続するポートはトランクポート、端末へ接続するポートはアクセスポートとして設定します。
左側のスイッチ
interface FastEthetnet 0/1
switchport trunk encapsulation dot1q
switchport trunk allowed vlan 100,200
switchport mode trunk
!
interface FastEthetnet 0/2
switchport mode access
switchport access vlan 100
右側のスイッチ
interface FastEthetnet 0/10
switchport trunk encapsulation dot1q
switchport trunk allowed vlan 300,400
switchport mode trunk
!
interface FastEthetnet 0/11
switchport mode access
switchport access vlan 300
| コマンド | 意味 |
|---|
| switchport trunk encapsulation dot1q | トランクのカプセル化をIEEE 802.1Qにする |
| switchport trunk allowed vlan | トランクで通すVLANの一覧を指定する |
| switchport mode trunk | ポートを常時トランクにする |
| switchport mode access | ポートをアクセスポートにする(端末側) |
| switchport access vlan | アクセスポートが属するVLANを指定する |
確認の前提異なるネットワークの端末と通信するため、端末のデフォルトゲートウェイには、同じVLANのFortigateのアドレス(VLAN100の端末なら 192.168.1.99)を設定しておきます。
動作確認と設定の見直し
ハードウェアスイッチ間のポリシーで通信を確認
ハードウェアスイッチ間(internalからHW-Switch-4-5)でポリシーを設定します。
FortiGate 設定画面(GUI)画面イメージ
| 名前 | policy-1 |
| 1入力インターフェース | internal |
| 2出力インターフェース | HW-Switch-4-5 |
| 送信元 | all |
| 宛先 | all |
| スケジュール | always |
| サービス | ALL |
| アクション | ◉ ACCEPT○ DENY |
ファイアウォール / ネットワークオプション
OKキャンセル
図6 ポリシーの編集画面。入力はinternal、出力はHW-Switch-4-5(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 項目 | 設定内容 |
|---|
| 1 | 入力インターフェース | ハードウェアスイッチ internal |
| 2 | 出力インターフェース | ハードウェアスイッチ HW-Switch-4-5 |
192.168.1.1 → 192.168.3.1 へpingを実行しますが、疎通できません。
端末のコマンドプロンプト画面イメージ
C:\Users\(伏せています)>ping 192.168.3.1 192.168.3.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:要求がタイムアウトしました。要求がタイムアウトしました。要求がタイムアウトしました。要求がタイムアウトしました。 192.168.3.1 の ping 統計:1 パケット数: 送信 = 4、受信 = 0、損失 = 4 (100% の損失)、
図7 192.168.1.1の端末から192.168.3.1へのping。応答がない(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 表示 | 意味 |
|---|
| 1 | パケット数 | 送信 = 4、受信 = 0、損失 = 4 (100% の損失)。すべて応答がない |
今回、Fortigateに付与されているIPアドレスは、ハードウェアスイッチではなく、VLANインタフェースに付いています。そのため、ポリシーも、VLANインタフェース間で設定する必要があります。
図8 VLAN100からVLAN300への通信とポリシーの指定
VLANインタフェース間のポリシーに変更
入力インタフェースをVLAN100、出力インタフェースをVLAN300に変更します。
FortiGate 設定画面(GUI)画面イメージ
| 名前 | policy-1 |
| 1入力インターフェース | VLAN100 |
| 2出力インターフェース | VLAN300 |
| 送信元 | all |
| 宛先 | all |
| スケジュール | always |
| サービス | ALL |
| アクション | ◉ ACCEPT○ DENY |
ファイアウォール / ネットワークオプション
OKキャンセル
図9 ポリシーの編集画面。入力はVLAN100、出力はVLAN300(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 項目 | 設定内容 |
|---|
| 1 | 入力インターフェース | VLANインタフェース VLAN100 |
| 2 | 出力インターフェース | VLANインタフェース VLAN300 |
再度、192.168.1.1 → 192.168.3.1 へpingを実行すると、疎通できるようになりました。
端末のコマンドプロンプト画面イメージ
C:\Users\(伏せています)>ping 192.168.3.1 192.168.3.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:192.168.3.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =3ms TTL=128192.168.3.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=128192.168.3.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=128192.168.3.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=128 192.168.3.1 の ping 統計:1 パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒): 最小 = 1ms、最大 = 3ms、平均 = 1ms
図10 192.168.1.1の端末から192.168.3.1へのping。応答がある(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 表示 | 意味 |
|---|
| 1 | パケット数 | 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)。すべて応答がある |
同じハードウェアスイッチ内の通信確認
同じハードウェアスイッチ内のVLAN間にポリシーを設定
同じハードウェアスイッチinternalの中で、VLAN100の端末(192.168.1.1/24)とVLAN200の端末(192.168.2.1/24)の通信を確認します。VLAN200の端末は、Port3に接続したL2スイッチにつなぎます。このL2スイッチも、Fortigate側をトランクポート(許可するVLANは100と200)、端末側をアクセスポート(VLAN200)として設定します。
図11 同じハードウェアスイッチ(internal)内の通信確認の構成
192.168.1.1 → 192.168.2.1 へpingを実行しますが、疎通できません。
端末のコマンドプロンプト画面イメージ
C:\Users\(伏せています)>ping 192.168.2.1 192.168.2.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:要求がタイムアウトしました。要求がタイムアウトしました。要求がタイムアウトしました。要求がタイムアウトしました。 192.168.2.1 の ping 統計:1 パケット数: 送信 = 4、受信 = 0、損失 = 4 (100% の損失)、
図12 192.168.1.1の端末から192.168.2.1へのping。応答がない(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 表示 | 意味 |
|---|
| 1 | パケット数 | 送信 = 4、受信 = 0、損失 = 4 (100% の損失)。すべて応答がない |
同じハードウェアスイッチ内でも、VLANが異なれば疎通できません。VLAN間のポリシーが必要になります。
FortiGate 設定画面(GUI)画面イメージ
| 名前 | policy-1 |
| 1入力インターフェース | VLAN100 |
| 2出力インターフェース | VLAN200 |
| 送信元 | all |
| 宛先 | all |
| スケジュール | always |
| サービス | ALL |
| アクション | ◉ ACCEPT○ DENY |
ファイアウォール / ネットワークオプション
OKキャンセル
図13 ポリシーの編集画面。入力はVLAN100、出力はVLAN200(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 項目 | 設定内容 |
|---|
| 1 | 入力インターフェース | VLANインタフェース VLAN100 |
| 2 | 出力インターフェース | VLANインタフェース VLAN200 |
VLAN間のポリシーを設定したあと、疎通できるようになりました。
端末のコマンドプロンプト画面イメージ
C:\Users\(伏せています)>ping 192.168.2.1 192.168.2.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:192.168.2.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=128192.168.2.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=128192.168.2.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=128192.168.2.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=128 192.168.2.1 の ping 統計:1 パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒): 最小 = 1ms、最大 = 1ms、平均 = 1ms
図14 192.168.1.1の端末から192.168.2.1へのping。応答がある(実際の画面ではなく、設定・表示のポイントを示したイメージです)
| No. | 表示 | 意味 |
|---|
| 1 | パケット数 | 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)。すべて応答がある |
検証環境についてこの記事は、FortiOS 6.0.9での検証内容です。FortiOS 6.0は、2022年9月29日にサポートが終了しています。
うまくいかないときの確認
| 状況 | よくある原因 | 確認すること |
|---|
| 端末から、同じVLANのFortigateのアドレスにpingが通らない | L2スイッチのトランクで許可するVLANやアクセスポートのVLANが合っていない。VLAN IDが違う。VLANインタフェースの管理者アクセスでPINGを許可していない | L2スイッチの switchport の設定、VLAN ID、VLANインタフェースの管理者アクセス |
| VLAN間(異なるネットワーク)の通信が通らない | ポリシーがない。ポリシーの入力・出力にハードウェアスイッチを指定している | ポリシーの入力・出力がVLANインタフェースになっているか。通信の向きと合っているか |
| 端末から、ほかのネットワークに届かない | 端末のデフォルトゲートウェイが、同じVLANのFortigateのアドレスになっていない | 端末のデフォルトゲートウェイ |
まとめ
| 項目 | 設定 | ポイント |
|---|
| ハードウェアスイッチ | internal(Port1〜3)、HW-Switch-4-5(Port4、5) | IPアドレスは外す(アドレッシングモードをDHCP) |
| VLANインタフェース | VLAN100と200はinternal、VLAN300と400はHW-Switch-4-5 | IPアドレスはVLANインタフェースに設定する(192.168.x.99/24) |
| L2スイッチ | Fortigate側はトランクポート、端末側はアクセスポート | トランクで許可するVLANと、アクセスポートのVLANを合わせる |
| ポリシー | 入力・出力はVLANインタフェース(例:VLAN100 → VLAN300) | ハードウェアスイッチを指定したポリシーでは通らない |
| 同じハードウェアスイッチ内のVLAN間 | VLAN100 → VLAN200のポリシーを設定 | VLANが違えば、同じハードウェアスイッチでもポリシーが必要 |
ハードウェアスイッチの基本は 【Fortigate】ハードウェアスイッチ間通信と動作確認 FortiOS6.0.9 から、FortiGateの設定の関連記事は 【Fortigate】サイト間IPSec設定(PPPoE網間接続)と動作確認 FortiOS6.0.9 から参照できます。
コメント
初めまして 安福と申します。
大変勉強になります。
貴重な経験を拝見させていただき
ありがとうございます。