【AD GPO】ソフトウェア配布(MSI)と動作確認

グループポリシーを使うと、ドメインに参加しているユーザーやコンピューターに、ソフトウェアを配布してインストールできます。グループポリシーの基本は 【Active Directory】グループポリシーの構成・適用・更新 で紹介しています。

この記事では、ソフトウェア配布の注意点を整理してから、Firefox の MSI パッケージをドメイン参加の Windows 10 端末に配布し、動作を確認します。

この記事でわかること
  1. MSI パッケージを、端末から読める共有フォルダーに置く
  2. GPO の「ソフトウェアのインストール」にパッケージを「割り当て」で追加する
  3. GPO を OU にリンクし、端末の再起動でインストールされることを確認する

ソフトウェア配布の注意点

Active Directory の標準機能だけでソフトウェアを配布できるので便利ですが、いくつか注意点があります。

ネットワーク帯域を制限できない

ソフトウェア配布で使うネットワーク帯域を制限する設定はありません。始業時に多くの端末が一斉に起動すると、配布のトラフィックが集中することがあります。特に拠点では、WAN 回線がひっ迫する場合があります。

なお、低速リンクと判定された接続では、既定ではソフトウェアのインストールは処理されません。拠点の端末で配布されないときは、この点も確認します。

配布のタイミングを指定できない

配布する日時をスケジュールすることはできません。コンピューターに割り当てたソフトウェアはコンピューターの起動時に、ユーザーに割り当てたソフトウェアはユーザーのログオン時にインストールされます。

ソフトウェアのインストールは、起動時とログオン時の処理(フォアグラウンド処理)でしか実行されません。gpupdate や、90 分ごとに行われるバックグラウンドの更新ではインストールされないので、GPO を変更したら端末を再起動して確認します。

コンピューターに割り当てたソフトウェアの流れ ① 起動コンピューターの起動② GPO の処理起動時に処理③ MSI の読み込み共有フォルダーから④ インストールユーザーが使う前に gpupdate や 90 分ごとのバックグラウンドの更新では、ソフトウェアのインストールは処理されない → GPO を変更したら、端末を再起動して確かめる
図1 コンピューターに割り当てたソフトウェアがインストールされるまで
再起動しても入らないとき

Windows 10 などのクライアントは、既定ではネットワークの準備を待たずに起動し、グループポリシーを非同期で処理します。そのため、ソフトウェアのインストールが反映されるまでに、再起動が 2 回必要になることがあります。

1 回の再起動で確実に処理させたい場合は、コンピューターの構成 ›› ポリシー ›› 管理用テンプレート ›› システム ›› ログオン の「コンピューターの起動時およびログオン時に常にネットワークを待つ」を有効にします。

配布できるのは MSI パッケージ

自動でインストールさせる(割り当てる)ことができるのは、Windows インストーラー パッケージ(.msi)だけです。EXE 形式のセットアップは、そのままでは配布できません。

EXE 形式のソフトウェアは、.zap ファイルを作るとユーザーに「公開」することはできますが、自動インストールにはなりません。ベンダーが MSI 版を提供しているかを、先に確認しておくと確実です。

注意点内容対策の例
帯域配布の帯域を制限できない拠点では台数を分けて展開する、拠点内にも配布用の共有を置く
タイミング起動時・ログオン時にしかインストールされない展開する日を決め、その前日に GPO をリンクしておく
形式自動インストールできるのは MSI だけMSI 版の有無を確認する

MSI パッケージの配布

Firefox の MSI パッケージを用意し、ドメインに参加している Windows 10 端末に配布してみます。構成は次のとおりです。

ドメイン:hirotanoblog.local OU1 AD-1 ドメインコントローラ 共有フォルダー \\ad-1\app Firefox Setup 105.0.msi ソフトウェア配布 起動時にインストール GPO:MSIパッケージの配布 Windows 10 端末 GPO を適用する PC
図2 検証の構成

共有フォルダーに MSI パッケージを置く

ドメインコントローラ(AD-1)に共有フォルダー \\ad-1\app を作り、Firefox の MSI パッケージを保存します。

画面イメージについて

この記事の画面は、実際の画面ではなく、検証時の画面から設定する項目(見るポイント)を抜き出して描いたイメージです。バージョンによって、項目の並びや表記は変わります。

エクスプローラー(AD-1)画面イメージ
app
名前更新日時種類サイズ
1Firefox Setup 105.02022/09/23 16:19Windows インストーラー パッケージ55,737 KB
1 個の項目 2状況:共有
図3 共有フォルダーに置いた MSI パッケージ(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1Firefox Setup 105.0配布する MSI パッケージ(種類が「Windows インストーラー パッケージ」)
2状況:共有app フォルダーが共有されている

Windows 10 端末から、共有フォルダーにアクセスできることを確認しておきます。エクスプローラーで \\ad-1\app を開き、MSI パッケージが見えれば大丈夫です。

エクスプローラー(Windows 10 端末)画面イメージ
1ネットワーク › ad-1 › app名前2Firefox Setup 105.0
図4 端末から共有フォルダーを開いたところ(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1ネットワーク › ad-1 › app端末から AD-1 の共有フォルダーを開いている
2Firefox Setup 105.0端末から MSI パッケージが見えている
共有のアクセス権

コンピューターに割り当てたソフトウェアは、ユーザーがログオンする前に、コンピューターのアカウントで共有フォルダーから読み込まれます。共有とフォルダーのアクセス権では、ユーザーだけでなくコンピューター(Domain Computers や Authenticated Users など)にも読み取りを許可しておきます。

配布用の GPO を作成する

MSI パッケージを配布するためのグループポリシーオブジェクト(GPO)を作ります。AD-1 で ツール ›› グループ ポリシーの管理 を開き、グループ ポリシー オブジェクト を右クリックして 新規 を選びます。

新しい GPO画面イメージ
1名前(N)MSIパッケージの配布
ソース スターター GPO(S)(なし)
2OKキャンセル
図5 GPO の作成(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1名前任意の名前(今回は「MSIパッケージの配布」)
2OKGPO を作成する

ソフトウェアのインストールにパッケージを追加する

作成した「MSIパッケージの配布」を右クリックして 編集 を選ぶと、グループ ポリシー管理エディターが開きます。コンピューターの構成 ›› ポリシー ›› ソフトウェアの設定 ›› ソフトウェアのインストール を右クリックし、新規作成 ›› パッケージ を選びます。

グループ ポリシー管理エディター画面イメージ
MSIパッケージの配布▾ コンピューターの構成  ▾ ポリシー    ▾ ソフトウェアの設定1      ソフトウェアのインストール → 右クリック ›› 新規作成 ›› パッケージ    › Windows の設定    › 管理用テンプレート  › 基本設定▾ ユーザーの構成  › ポリシー  › 基本設定
図6 ソフトウェアのインストールの場所(実際の画面ではなく、操作のポイントを示したイメージです)
No.項目操作
1ソフトウェアのインストール右クリックして「新規作成 ›› パッケージ」を選ぶ(右側の一覧は、最初は空)

ファイルを選ぶ画面で、共有フォルダー上の MSI パッケージを選び、「開く」をクリックします。パスは、ネットワーク経由(\\ad-1\app\Firefox Setup 105.0.msi のような UNC パス)で指定します。

開く画面イメージ
1ネットワーク ›› ad-1 ›› app
名前更新日時種類サイズ
Firefox Setup 105.02022/09/23 16:19Windows インストーラー パッケージ55,737 KB
2ファイル名(N)Firefox Setup 105.0 Windows インストーラー パッケージ
3開く(O)キャンセル
図7 共有フォルダー上の MSI パッケージを選ぶ(実際の画面ではなく、操作のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1場所ネットワーク上の共有フォルダー(\\ad-1\app)
2ファイル名配布する MSI パッケージ
3開くパッケージを選ぶ

共有フォルダーではなく、ローカルフォルダー(C ドライブなど)のファイルを選ぶと、次のメッセージが表示されます。端末からはローカルフォルダーを読めないので、「はい」で進めてもクライアントにはインストールできません。「いいえ」を選び、共有フォルダーのパスで選び直します。

C:\Users\(伏せています)\Desktop\app\Firefox Setup 105.0.msi画面イメージ
⚠ パスがネットワーク上に存在することを確認できません。ネットワーク共有からこのパッケージが利用可能でなければ、クライアントにこのパッケージをインストールできません。このパスを使って、パッケージを展開しますか?
はい(Y)いいえ(N)
図8 ローカルのパスを選んだときのメッセージ(実際の画面ではなく、表示内容のイメージです)

続いて、展開方法を選ぶ画面が表示されます。「割り当て」が選ばれていることを確認し、「OK」をクリックします。

ソフトウェアの展開画面イメージ
展開方法を選択してください:
1展開方法○ 公開(P)◉ 割り当て(A)○ 詳細設定(V)
説明アプリケーションを変更しないで割り当てるにはこのオプションを選択してください。
2OKキャンセル
図9 展開方法の選択(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1展開方法「割り当て」を選ぶ。コンピューターの構成では「公開」は選べない(グレー表示)
2OKパッケージを追加する

「割り当て」を選ぶと、ソフトウェアは自動的にインストールされます。「詳細設定」を選ぶと、変換ファイル(.mst)の指定など、パッケージのプロパティを追加で設定できます。

ソフトウェアの展開は「ユーザーの構成」でも同じように設定でき、その場合は「公開」も選べます。展開方法の違いは次のとおりです。

展開方法設定する場所動き
割り当てコンピューターの構成コンピューターの起動時に自動でインストールされ、その PC を使うすべてのユーザーが使える
割り当てユーザーの構成ユーザーのログオン時にインストールされる(初めて起動したときにインストールが完了する場合もある)
公開ユーザーの構成自動ではインストールされない。コントロール パネルの「プログラム」に、ネットワークからインストールできるソフトウェアとして表示され、ユーザーが自分でインストールする

「OK」をクリックすると、ソフトウェアのインストールにパッケージが追加されます。インストール元が共有フォルダーになっていることを確認します。

グループ ポリシー管理エディター(ソフトウェアのインストール)画面イメージ
名前バージョン展開状態インストール元
Mozilla Firefox 105.0 x64 ja105.0割り当て1\\ad-1\app\Firefox Setup 105.0.msi
図10 追加されたパッケージ(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1インストール元共有フォルダーの UNC パスになっていれば、端末から MSI を読み込める

GPO を OU にリンクする

グループ ポリシーの管理に戻り、テスト用のコンピューターが所属する OU1 に、作成した GPO をリンクします。OU1 を右クリックして 既存の GPO のリンク から「MSIパッケージの配布」を選びます。

グループ ポリシーの管理画面イメージ
▾ ドメイン  ▾ hirotanoblog.local      Default Domain Policy    › Domain Controllers1    ▾ OU1        MSIパッケージの配布    › OU2
図11 OU1 にリンクした GPO(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1OU1 ›› MSIパッケージの配布OU1 に GPO がリンクされている

OU1 にいるコンピューターに、この GPO が適用されます。

動作確認

OU1 にいる Windows 10 端末を再起動します。起動したあとにサインインすると、Firefox が自動的にインストールされ、デスクトップにショートカットが追加されていることを確認できます。

Windows 10 端末のデスクトップ画面イメージ
デスクトップ
Firefoxショートカットが追加された(ごみ箱の下)
図12 インストールされた Firefox(実際の画面ではなく、表示結果のイメージです)

インストールされないときは、次の点を確認します。

状態よくある原因確認すること
1 回の再起動では入らない起動時のグループポリシーが非同期で処理されたもう一度再起動する。「コンピューターの起動時およびログオン時に常にネットワークを待つ」を有効にする
GPO が適用されていないコンピューターが OU1 にいない、リンク先が違う端末で gpresult /r を実行し、コンピューターの設定に「MSIパッケージの配布」が表示されるか見る
MSI を読み込めないインストール元がローカルのパス、共有のアクセス権が足りないインストール元が UNC パスか、コンピューターのアカウントに読み取り権限があるか
拠点の端末だけ入らない低速リンクと判定された回線の速度と、低速リンクの設定

まとめ

手順作業ポイント
STEP 1共有フォルダーに MSI を置くコンピューターのアカウントでも読めるアクセス権にする
STEP 2配布用の GPO を作るグループ ポリシーの管理で作成する
STEP 3パッケージを追加するコンピューターの構成 ›› ポリシー ›› ソフトウェアの設定 ›› ソフトウェアのインストール。UNC パスで指定し、「割り当て」を選ぶ
STEP 4OU にリンクする配布したいコンピューターがいる OU にリンクする
確認端末を再起動するgpupdate ではインストールされない。2 回の再起動が必要なこともある

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