LANスイッチの冗長化して接続するには、どうしてもループ構成ができてしまいます。 レイヤ2でループ構成にすると、フレームが激増し、MACテーブルも正常なリストを作成することができません。 ループを発生させず、冗長化を保つためのプロトコルとして、昔から、スパニングツリーが今でもよく使用されます。ここでは、スパニングツリーをざっくりと理解するための考え方を記事にします。
スパニングツリーとは
イーサネットの冗長化プロトコル。物理的にループする接続をしても、ポートでデータ通信をブロックすることにより、レイヤ2ループが発生しないようにできます。
スパニングツリー(Spanning Tree)は、「広がる木」という意味で、木の根っこ(ルート)を中心に枝が広がっているイメージから命名されています。 木は枝の先がくっつくことがないから、ループ構成には必ずなりません。ここがループしないように、データ通信をブロックする箇所です。
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スパニングツリーを理解する手順
上の絵を見ての通り、まずは、ループ構成の中で、ルートブリッジを決定するのが一番大事です。 そのルートブリッジから一番遠いところ(枝の先)のデータ通信を遮断(ブロック)します。
ルートブリッジの決定
ルートブリッジは必ず1台だけです。 ルートブリッジは、ブリッジ識別子(ブリッジ優先度+ブリッジMACアドレス)で決まり、その値のもっとも小さいもの がルートブリッジになります。Catalystのブリッジ優先度のデフォルト値は32768で、設定変更可能です。同じブリッジ優先度のスイッチ間では、ブリッジMACアドレスが一番小さい値のスイッチがルートブリッジになります。
ルートブリッジから一番遠いところのデータ通信を遮断
ルートブリッジから一番遠いところというのは、何をもって遠い、近いを計算するのでしょうか。 それはポート速度(リンクコスト)の総和で求められます。ポート速度が遅いほどリンクコスト値が大きくなります。リンクコスト値が大きくなればなるほど、ルートブリッジからは遠いと考えます。
具体例
例えば、ルートブリッジからのリンクコストが下図とします。
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左右のスイッチは、ルートブリッジまでコスト10で行くことができます。
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一番上のスイッチは右回りだとコスト20でルートブリッジまで到達できます。左回りだと、コストは110もかかります。
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では、各スイッチからルートブリッジまでの経路で使っていないリンクはどこでしょうか。 それは、下の赤い点線のリンクになります。
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この赤い点線のリンクで、両端のどちらのポートでデータ通信をブロックすれば良いのでしょうか。 ここで、赤い点線のリンク上に端末がいると想像してみてください。その端末はルートブリッジまで、到達するのに、どちらのスイッチを経由すると、最短コストで到達できるのでしょうか。
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上図のように端末からルートブリッジまではコスト10の経路が選択されます。そのため、コスト20となるスイッチは使用されず、ここが、データ通信をブロックする箇所です。
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これが、スパニングツリーを理解するための第1歩で、ここから、スパニングツリーの理解をより深めていくと良いと思います。
こちらの記事も参考にしてください。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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