【基本】マルチキャストアドレスの概要

 マルチキャストアドレスは、そのマルチキャストを受信したいグループを指定するアドレスです。 IANA(Internet Assigned Number Authority)は、マルチキャストアドレス用にIPクラスDアドレス空間として、224.0.0.0.0〜239.255.255.255を割り当てています。

 そして、最初の4ビットは1110から始まります。(2進数の1110は、128+64+32+0 = 224 です)

 マルチキャストアドレス空間では、複数のブロックが特定の目的のために予約されています。

ローカルネットワーク制御用ブロック 224.0.0.0〜224.0.0.255  

 サブネットローカル内のみで転送される制御用途に使用されます。よく使われる制御用アドレスと用途は以下です。

アドレス            用途                     
224.0.0.0ベースアドレス(予約済み)
224.0.0.1全てのマルチキャストホスト
224.0.0.2全てのマルチキャストルータ
224.0.0.5全てのOSPFルータ
224.0.0.6全てのOSPF代表ルータ(DR)
224.0.0.9全てのRIPv2ルータ
224.0.0.10全てのEIGRPルータ
224.0.0.12DHCPサーバー/リレーエージェント
224.0.0.13全てのPIMルータ
224.0.0.18VRRP
224.0.0.22IGMPv3
224.0.0.102HSRPv2

インターネットワーク制御用ブロック(224.0.1.0〜224.0.1.255)

 インターネットを介して転送される可能性のある制御トラフィック用です。よく使われる制御用アドレスと用途は以下です。

アドレス           用途                     
224.0.1.1NTP
224.0.1.39Cisco-RP-Annouce (Auto-RPで使用)
224.0.1.40Cisco-RP-Discovery(Auto-RPで使用)

 ローカルネットワーク制御用 とインターネットワーク制御用の範囲を、独自に使用することは、オススメしません。

マルチキャストSSM用(232.0.0.0〜232.255.255.255)

 マルチキャストのSSM(Source Specific Multicast)で使用されるデフォルトの範囲です。SSMは、受信側がマルチキャストソースを特定して、トラフィックが転送されます。

GLOP ブロック (233.0.0.0〜233.255.255.255)

 16ビットのAS番号と関連して使用されるアドレス範囲です。

管理上スコープされたブロック(239.0.0.0〜239.255.255.255)

 ローカルグループまたは組織内に限定して使用する範囲。プライベートアドレスのようなもので、 ネットワークの検証などでも、この範囲を使うことが多いです。例えば、239.1.1.1 とか 239.2.2.2  などです。

注意)例えば、ローカルネットワーク制御用ブロックのアドレス範囲を224.0.0.0/8 と説明されていることが多くあります。 “/8”は通常のIPアドレスにあるサブネットの意味は全くなく、単に、アドレスの範囲(今回だと、224.0.0.0〜224.0.0.255)を表したいだけです。

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