【初心者向け】仮想LAN(VLAN)の仕組みと設定方法

VLAN(仮想 LAN)は、1つの物理ネットワークを複数の論理的なネットワークに分ける技術です。この記事では、VLAN の基本的な考え方から、タグ VLAN(IEEE 802.1Q)の仕組み、Cisco スイッチでの設定方法までを順に説明します。

この記事でわかること
  1. VLAN で何ができるのか、VLAN ID の範囲
  2. タグ VLAN(IEEE 802.1Q)で、1本のケーブルに複数の VLAN を通す仕組み
  3. Cisco スイッチでの VLAN、アクセスポート、トランクポートの設定と確認

VLAN とは

VLAN(Virtual Local Area Network)は、1台のスイッチなどのネットワーク機器の上で、1つの物理ネットワークを複数の論理的なネットワークに分ける技術です。

VLAN を使うと、同じスイッチにつながった機器(PC やプリンタなど)を、論理的に別のネットワークに分けられます。ネットワークの管理がしやすくなり、セキュリティの強化にもつながります。

VLAN 100192.168.1.0/24 VLAN 200192.168.2.0/24 スイッチ (1台)
図1 1台のスイッチを VLAN 100 と VLAN 200 に分ける

VLAN のメリット

メリット内容
セキュリティの向上異なる VLAN の機器どうしは、ルータやレイヤ3スイッチで中継しない限り通信できません。機器を分離でき、情報が不要に流れるリスクを減らせます
柔軟な管理サブネットごとに VLAN を分けておけば、物理的な配線を変えずに、ネットワークのセグメントを追加・削除できます
ブロードキャストの抑制ブロードキャストは同じ VLAN の中だけに届きます。VLAN ごとにブロードキャストドメインが分かれるので、不要なブロードキャストのトラフィックを抑えられます

VLAN ID の範囲

VLAN は、一意の ID(VLAN ID)で区別します。Cisco のスイッチでは、VLAN ID は次の2つの範囲に分かれます。

範囲VLAN ID補足
標準範囲(ノーマルレンジ)1〜10051002〜1005 は Token Ring と FDDI 用に予約されていて、ユーザーが作れるのは 1〜1001
拡張範囲(エクステンデッドレンジ)1006〜4094

例えば、192.168.1.0/24 を VLAN 100、192.168.2.0/24 を VLAN 200 のように、サブネットと VLAN を 1 対 1 で対応させ、VLAN ID で区別します。

IEEE 802.1Q(タグ VLAN)

2台のスイッチをつないで、それぞれに VLAN 100 と VLAN 200 の端末を置きたいとします。最初に思いつくのは、VLAN ごとにスイッチ間をケーブルでつなぐ方法です。

VLAN 100 用 VLAN 200 用 SW1 SW2 VLAN 100 192.168.1.0/24 VLAN 200 192.168.2.0/24 VLAN 100 192.168.1.0/24 VLAN 200 192.168.2.0/24
図2 VLAN ごとにケーブルでつなぐ方法

しかし、この方法ではすぐに物理的な限界が来ます。例えば VLAN が 100 個あれば、ケーブルも 100 本必要です。スイッチのポートは 24 や 48 程度しかないので、すべての VLAN をケーブルでつなぐのは現実的ではありません。

そこで使うのが IEEE 802.1Q(タグ VLAN)です。

トランク(IEEE 802.1Q) VLAN 100・200 をタグで区別 SW1 SW2 VLAN 100 192.168.1.0/24 VLAN 200 192.168.2.0/24 VLAN 100 192.168.1.0/24 VLAN 200 192.168.2.0/24
図3 1本のトランクで複数の VLAN を通す

IEEE 802.1Q は、1つの物理ポートで複数の VLAN を通すための規格です。スイッチ間を流れるフレームに「タグ」を付けてどの VLAN のフレームかを区別し、1本のケーブルで複数の VLAN を多重化します。

宛先 MAC 送信元 MAC 802.1Q タグ タイプ データ FCS 4 バイト追加 TPID(0x8100) 16 ビット 優先度 3 ビット DEI 1 ビット VLAN ID 12 ビット VLAN ID は 12 ビットなので 0〜4095。このうち 0 と 4095 は予約されていて、使えるのは 1〜4094
図4 IEEE 802.1Q のタグ

なお、トランクにはタグを付けずに流す VLAN が1つあり、これをネイティブ VLAN と呼びます。Cisco のスイッチでは、ネイティブ VLAN は既定で VLAN 1 です。トランクの両端でネイティブ VLAN をそろえておく必要があります。

端末をつなぐ、1つの VLAN だけに属するポートをアクセスポート、スイッチ間など複数の VLAN を多重化するポートをトランクポートといいます。

タグ VLAN の利点内容
ポートの節約1つの物理ポートで複数の VLAN を扱えるので、スイッチ間のケーブルを大幅に減らせる
柔軟な設計物理的な配線にとらわれず、論理的なネットワーク構成を変えられる
帯域の有効活用1本のリンクを複数の VLAN で共有できる

VLAN の設定例

Cisco スイッチで、VLAN 100 と VLAN 200 を作り、アクセスポートとトランクポートを設定します。SW1 の設定を例に説明します(SW2 も同じように設定します)。

トランク(IEEE 802.1Q) VLAN 100・200 をタグで区別 Fa0/8 Fa0/8 SW1 SW2 VLAN 100 192.168.1.0/24 VLAN 200 192.168.2.0/24 VLAN 100 192.168.1.0/24 VLAN 200 192.168.2.0/24 Fa0/1 Fa0/2 Fa0/1 Fa0/2
図5 設定する構成

VLAN を作成する

VLAN 100 と VLAN 200 を、次のコマンドで作成します。

SW1(config)# vlan 100
SW1(config-vlan)# exit
SW1(config)# vlan 200
SW1(config-vlan)# exit

show vlan で、VLAN が追加されたかを確認できます。

SW1# show vlan


VLAN Name                             Status    Ports
---- -------------------------------- --------- -------------------------------
1    default                          active    Fa0/1, Fa0/2, Fa0/3, Fa0/4
                                                Fa0/5, Fa0/6, Fa0/7, Fa0/8
                                               
100   VLAN0010                         active    
200    VLAN0020                         active   

この時点では、すべてのポートが VLAN 1(default)に属しています。

アクセスポートを設定する

アクセスポートは、1つの VLAN だけに属する、端末向けのポートです。Fa0/1 を VLAN 100、Fa0/2 を VLAN 200 のアクセスポートにします。

SW1(config)# interface FastEthernet0/1
SW1(config-if)# switchport access vlan 100
SW1(config-if)# switchport mode access

SW1(config)# interface FastEthernet0/2
SW1(config-if)# switchport mode access 
SW1(config-if)# switchport access vlan 200
コマンド意味
switchport mode accessポートをアクセスポートにする
switchport access vlan 100このポートが属する VLAN を 100 にする

各 VLAN に割り当てられたポートを確認します。

SW1# show vlan

VLAN Name                             Status    Ports
---- -------------------------------- --------- -------------------------------
1    default                          active    Fa0/3, Fa0/4, Fa0/5, Fa0/6
                                                Fa0/7, 
                                               
100   VLAN0010                         active   Fa0/1  
200   VLAN0020                         active   Fa0/2 

ポートにどの VLAN が設定されているかは、show interface status でも確認できます。

SW1# show interface status

Port      Name               Status       Vlan       Duplex  Speed Type
Fa0/1                        connected    100          a-full  a-100 100BaseTX/FX
Fa0/2                        connected    200          a-full  a-100 100BaseTX/FX

トランクポートを設定する

トランクポートは、複数の VLAN のトラフィックを通すためのポートです。Fa0/8 をトランクポートにします。

SW1(config)# interface FastEthernet0/8
SW1(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q 
SW1(config-if)# switchport mode trunk 
SW1(config-if)# switchport trunk allowed vlan 100,200
コマンド意味
switchport trunk encapsulation dot1qトランクのカプセル化方式を IEEE 802.1Q にする。ISL にも対応した機種で必要なコマンドで、機種によっては不要
switchport mode trunkポートをトランクポートにする
switchport trunk allowed vlan 100,200トランクで通す VLAN を 100 と 200 に限る

最後の switchport trunk allowed vlan を設定しないと、トランクには既定ですべての VLAN(1〜4094)が通ります。実務では、余計な VLAN がトランクを流れないように、allowed vlan で通す VLAN を限定します。

Fa0/8 がトランクとして、どの VLAN を許可しているかを確認します。

SW1# show int trunk

Port        Mode             Encapsulation  Status        Native vlan
Fa0/8       on               802.1q         trunking      1


Port        Vlans allowed on trunk
Fa0/8       100,200


Port        Vlans allowed and active in management domain
Fa0/8       100,200


Port        Vlans in spanning tree forwarding state and not pruned
Fa0/8       100,200
表示意味
Mode onswitchport mode trunk で、常にトランクとして動く設定
Encapsulation 802.1qカプセル化方式は IEEE 802.1Q
Status trunkingトランクとして動いている
Native vlan 1タグを付けずに流すネイティブ VLAN は 1
Vlans allowed on trunkトランクで許可している VLAN(100 と 200)

ポートがトランクかどうかだけなら、show interface status でも確認できます。Vlan の列が trunk になります。

SW1# show interface status


Port      Name               Status       Vlan       Duplex  Speed Type
Fa0/1                        connected    100         a-full  a-100 100BaseTX/FX
Fa0/2                        connected    200         a-full  a-100 100BaseTX/FX

Fa0/8                        connected    trunk       a-full  a-100 100BaseTX/FX

まとめ

項目内容
VLAN1つの物理ネットワークを論理的に分ける。VLAN ごとにブロードキャストドメインが分かれる
VLAN ID標準範囲 1〜1005(1002〜1005 は予約)、拡張範囲 1006〜4094
アクセスポートswitchport mode access と switchport access vlan。1つの VLAN に属する
トランクポートswitchport mode trunk。IEEE 802.1Q のタグで複数の VLAN を通す。allowed vlan で通す VLAN を限定する
確認コマンドshow vlan、show interface status、show interface trunk

VLAN を使うと、ネットワークを論理的に分けて、セキュリティと管理のしやすさを高められます。IEEE 802.1Q(タグ VLAN)を使えば、スイッチのポート数に縛られずに、スイッチ間で複数の VLAN をつなげます。

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