【Cisco】フローティングスタティック

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 スタティックルートはAD値=1であり、どのダイナミックルーティングより小さい値です。そのため、ダイナミックルーティングで学習されたルートより、スタティックルートの方が優先されます。

 ただし、実際のネットワークで、ダイナミックルーティングにより学習した経路をプライマリルートとし、プライマリルートに障害が発生した場合に、スタティックルートで設定したバックアップルートへ切り替えたいニーズがあります。

 この場合、スタティックルートのAD値をダイナミックルーティングのAD値より大きくすることにより、実現します。このような用途でAD値を変更したスタティックルートをフローティングスタティックと言います。

 AD値(アドミニストレーティブディスタンス値)については、以下の記事を参考にしてください。

【Cisco】Administrative Distanceと動作確認
 同じルーティングプロトコルから複数経路で、同一ルートを受信した場合、使用しているルーティングプロトコルのメトリックの仕様(OSPFならコスト、RIPならホップ数など)に基づき、最適な経路を選択します。 では、OSPFとRIPなど...

 まず、以下の構成で、プライマリ回線でOSPFを有効にし、R2のループバックアドレス(2.2.2.2/32)をR1に広告します。

R1(config)# router ospf 1 
R1(config-router)#  network 192.168.12.1 0.0.0.0 area 0
R2(config)# router ospf 1
R2(config-router)#  network 2.2.2.2 0.0.0.0 area 0
R2(config-router)#  network 192.168.12.2 0.0.0.0 area 0

 R1のルーティングテーブルを確認すると、2.2.2.2/32をOSPFで学習しています。AD値=110であることを確認してください。

R1# show ip route 
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
       D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area 
       N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
       E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
       i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
       ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
       o - ODR, P - periodic downloaded static route, H - NHRP, l - LISP
       + - replicated route, % - next hop override

Gateway of last resort is not set

      2.0.0.0/32 is subnetted, 1 subnets
O        2.2.2.2 [110/2] via 192.168.12.2, 00:03:37, FastEthernet0/0.12
〜 以降省略

 2.2.2.2へトレースルートを実行すると、プライマリ回線(192.168.12.2)を経由していることがわかります。

R1# traceroute 2.2.2.2
Type escape sequence to abort.
Tracing the route to 2.2.2.2
VRF info: (vrf in name/id, vrf out name/id)
  1 192.168.12.2 12 msec 48 msec 16 msec

 このプライマリ回線がダウンした場合に、2.2.2.2/32への通信をバックアップ回線へ切り替えるためのフローティングスタティックを設定します。今回使用しているダイナミックルーティングプロトコルはOSPFでAD値=110です。スタティックルートのADをこの値より大きい値(AD値=111)にします。ADの設定はスタティックルート設定の末尾に値を書きます。

R1(config)# ip route 2.2.2.2 255.255.255.255 192.168.21.2 111

 OSPFのAD値=110より大きい値であれば、どの値を割り当てても問題ありません。

私の場合、OSPFのバックアップルートであることを強調する場合は、OSPFのAD値に1を足して、111に変更します。EIGRPのバックアップルートを強調する場合は、91にします。元のルーティングプロトコルを強調するのではなく、そもそもバックアップルートであることを強調したい場合は、254にします。

AD値の最大値は255ですが、255は到達不能を意味し、設定するとルーティングテーブルにインストールされません。

 では、R1から2.2.2.2へPingを実行中に、プライマリ回線を切断します。

R1# ping 2.2.2.2 repeat 1000
Type escape sequence to abort.
Sending 1000, 100-byte ICMP Echos to 2.2.2.2, timeout is 2 seconds:
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!..................
*Sep 11 13:22:23.547: %OSPF-5-ADJCHG: Process 1, Nbr 2.2.2.2 on FastEthernet0/0.12
 from FULL to DOWN, Neighbor Down: Dead timer expired...!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 切断のタイミングで、pingの疎通が途切れています。OSPFのネイバーがダウンした直後、Pingが復旧していることが確認できます。

 R1のルーティングテーブルを確認します。

R1# show ip route 
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
       D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area 
       N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
       E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
       i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
       ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
       o - ODR, P - periodic downloaded static route, H - NHRP, l - LISP
       + - replicated route, % - next hop override

Gateway of last resort is not set

      2.0.0.0/32 is subnetted, 1 subnets
S        2.2.2.2 [111/0] via 192.168.21.2

 OSPFのルートが消えたため、フローティングスタティックとして設定したルートが有効になりました。

 2.2.2.2へトレースルートを実行すると、バックアップ回線(192.168.21.2)を経由しています。

R1# traceroute 2.2.2.2      
Type escape sequence to abort.
Tracing the route to 2.2.2.2
VRF info: (vrf in name/id, vrf out name/id)
  1 192.168.21.2 8 msec 20 msec 12 msec

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