【Paloalto】ゾーンプロテクションの概要と動作確認 PANOS 10.2.4

Palo Alto のゾーンプロテクションは、フラッド攻撃、偵察行為(スキャン)、異常なパケットを使った攻撃から、ゾーンを守る機能です。インターネットにつながるゾーンには、まず入れておきたい設定です。この記事では、ゾーンプロテクションの概要を整理したうえで、PAN-OS 10.2.4 の PA-VM でプロファイルを作ってゾーンに適用し、SYN フラッド・UDP フラッド・TCP ポートスキャン・大きな ICMP パケットで動作を確認します。

この記事でわかること
  1. ゾーンプロテクションの3つの防御(フラッド防御・偵察行為防御・パケットベースの攻撃保護)の役割
  2. ゾーンプロテクションプロファイルの作成と、ゾーンへの適用の手順
  3. 脅威ログと show zone-protection zone での動作の確かめ方

ゾーンプロテクションとは何か

ゾーンプロテクションは、インターネットなどの外部につながるゾーンに対して、フラッド攻撃や偵察行為などのネットワーク攻撃から守るための機能です。設定は「ゾーンプロテクションプロファイル」にまとめ、そのプロファイルをゾーンに適用します。プロファイルを適用したゾーンから入ってくる通信が、保護の対象になります。

ゾーンプロテクションでは、主に次の3種類の攻撃に対して防御を設定できます。

Untrust ゾーンから入ってくる通信フラッドSYN/UDP など偵察ポートスキャンなど異常なパケット大きな ICMP などゾーンプロテクションフラッド防御偵察行為防御パケットベースの攻撃保護Trust ゾーン内部ネットワーク
図1 ゾーンプロテクションの3つの防御

フラッド防御(Flood Protection)

フラッド防御は、ネットワークやサーバを過負荷にすることを狙った大量の通信(フラッド攻撃)から守る機能です。代表的なものに、SYN フラッド攻撃や UDP フラッド攻撃があります。SYN・UDP・ICMP・ICMPv6・その他の IP のそれぞれについて、新しい接続数のしきい値を設定します。

偵察行為防御(Reconnaissance Protection)

偵察行為防御は、攻撃者がネットワークの構成や弱いところを調べるために行う偵察行為から守る機能です。TCP ポートスキャン、UDP ポートスキャン、ホストスイープ(どのアドレスに機器がいるかを順に調べる行為)を検知します。

パケットベースの攻撃保護(Packet-based Attack Protection)

パケットベースの攻撃保護は、不正な形や異常な中身のパケットを使った攻撃から守る機能です。IP フラグメント、送信元アドレスのなりすまし、大きすぎる ICMP パケット、データ付きの TCP SYN などを破棄できます。

ゾーン単位で守る機能

ゾーンプロテクションは、ゾーンに入ってくる通信全体(集計値)を見て動きます。フラッド防御のしきい値も、送信元ごとではなくゾーン全体の新しい接続数で判定します。特定のサーバを個別に守りたい場合は、DoS 保護ポリシーと組み合わせます。

基本的な設定手順

今回は、インターネットにつながる Untrust ゾーンから、内部ネットワークの Trust ゾーンを守る設定をします。検証構成は次のとおりです。

Untrust ゾーンTrust ゾーン検証用の端末hping3/nmap/pingPA-VMUntrust_to_Trust:許可Linux サーバ(Linux_VIP)ethernet1/1ethernet1/2Untrust_Protect を適用
図2 検証構成

ゾーンとセキュリティポリシーを用意する

まず、セキュリティゾーンを作って各ゾーンにインタフェースを割り当て、ゾーン間の通信を制御するセキュリティポリシーを設定します。今回は、Untrust ゾーン(ethernet1/1)から Trust ゾーン(ethernet1/2)の Linux サーバへの通信を、すべて許可するポリシーがある状態から始めます。

画面イメージについて

この記事の画面は、実際の画面ではなく、検証時の画面から設定する項目(見るポイント)を抜き出して描いたイメージです。バージョンによって、項目の並びや表記は変わります。

セキュリティポリシー画面イメージ
名前送信元
ゾーン
宛先
ゾーン
宛先
アドレス
アプリケー
ション
サービスアクション
1Trust_to_UntrustTrustUntrustanyanyapplication-…許可
12Untrust_to_TrustUntrustTrustLinux_VIPanyany許可
3ALLDENYUntrustTrustanyanyapplication-…拒否
4intrazone-defaultany(intrazone)anyanyany許可
5interzone-defaultanyanyanyanyany拒否
図3 検証時のセキュリティポリシー(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです。送信元アドレスの列は省略しています)
No.表示意味
1Untrust_to_TrustUntrust ゾーンから Trust ゾーンの Linux_VIP 宛ての通信を、アプリケーション・サービスを問わず許可します(緑の「許可」)。検証用の攻撃通信も、このルールでいったん許可される状態です。

ゾーンプロテクションプロファイルを作る

NETWORK ›› ネットワークプロファイル ›› ゾーンプロテクション を開き、「追加」をクリックします。表示された画面で、名前に任意の名前(今回は Untrust_Protect)を入れます。タブを見ると、「フラッド防御」「偵察行為防御」「パケットベースの攻撃保護」などを設定できることがわかります。

ゾーンプロテクションプロファイル画面イメージ
1名前Untrust_Protect
内容 
2フラッド防御 | 偵察行為防御 | パケットベースの攻撃保護 | プロトコル保護 | イーサネット SGT 保護
種類有効アクションアラーム発生レートアクティベーション最大
SYN☐Random Early Drop100001000040000
UDP☐―100001000040000
ICMP☐―100001000040000
ICMPv6☐―100001000040000
Other IP☐―100001000040000
3OKキャンセル
図4 ゾーンプロテクションプロファイルの作成画面(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです。画面ではフラッドの種類ごとに枠が分かれています)
No.項目設定内容
1名前任意の名前です。ここでは Untrust_Protect とします。
2タブ防御の種類ごとのタブです。作成した直後は、どの防御も有効になっていません。しきい値には既定値(アラーム発生レート 10000、アクティベーション 10000、最大 40000)が入っています。
3OKここでは何も有効にせず、そのまま OK をクリックします。

一覧に Untrust_Protect が登録されます。フラッド防御の各列(SYN フラッド、UDP フラッド、ICMP フラッド、ICMPV6 フラッド、その他の IP フラッド)のチェックは、まだ空のままです。

ゾーンに適用する

作ったプロファイルは、守りたいゾーンに適用します。今回は、攻撃の通信が入ってくる Untrust ゾーンに適用します。NETWORK ›› ゾーン を開き、Untrust をクリックします。「ゾーンプロテクション」の欄で Untrust_Protect を選び、OK をクリックします。

ゾーン画面イメージ
名前Untrust
ログ設定None
タイプレイヤー 3
インターフェイスインターフェイスethernet1/1
⋮ (ユーザー ID ACL、Device-ID ACL は省略)
ゾーンプロテクション
1ゾーンプロテクションプロファイルUntrust_Protect
パケットバッファ保護の有効化☑
2OKキャンセル
図5 Untrust ゾーンへのプロファイルの適用(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1ゾーンプロテクションプロファイルSTEP 2 で作った Untrust_Protect を選びます。
2OKOK をクリックして画面を閉じます。

ゾーンの一覧で、Untrust の「ゾーンプロテクションプロファイル」列に Untrust_Protect が表示されれば適用できています。

PA-VM 管理画面画面イメージ
NETWORK ›› ゾーン
名前タイプインターフェイスゾーンプロテクションプロファイルパケットバッファ保護
Trustlayer3ethernet1/2☑
Untrustlayer3ethernet1/11Untrust_Protect☑
図6 ゾーンの一覧(実際の画面ではなく、表示結果のイメージです)
No.表示意味
1Untrust_ProtectUntrust ゾーンにプロファイルが適用されています。Trust ゾーンには適用していません。

最後に「Commit」を実行して、設定を反映します。ここまでの設定では、何も保護しないプロファイルをゾーンに適用しただけです。次から、プロファイルに保護の設定を足して、動作を確認していきます。

フラッド制御の設定と動作確認

フラッド防御として、SYN フラッドと UDP フラッドの保護を設定し、実際にフラッドの通信を発生させてみます。フラッド防御では、守りたいプロトコルごとに、新しい接続数(CPS:1秒あたりの接続数)について3つのしきい値を設定します。

通常どおり処理アラームを出すアクションが動く超えた分を破棄RED:段階的に破棄SYN Cookie:代理で応答アラーム発生レートアクティベーション最大0新しい接続数/秒(CPS)→
図7 フラッド防御の3つのしきい値
しきい値意味
アラーム発生レート新しい接続数がこの値を超えると、アラームを出します。
アクティベーション新しい接続数がこの値を超えると、設定したアクションが動き始めます。RED(Random Early Drop)では、レートが上がるほど多くのパケットを破棄し、レートがこの値を下回ると破棄を止めます。SYN Cookie では、ファイアウォールがサーバの代わりに応答するようになります。
最大この値を超えた分のパケットを破棄します。レートがこの値を下回るまで、超えた分の新しい接続は通りません。

既定値は、プロファイルを適用しただけで正規の通信が落ちないよう、大きめの値になっています。今回は検証のため小さい値にしていますが、実際の環境では平常時の接続数を測ってから決めます。目安として、アラーム発生レートは平常時の平均より15〜20%ほど高い値、最大はファイアウォールの処理能力の80〜90%ほどにします。

SYN フラッドを防ぐ

ゾーンプロテクションプロファイルの「フラッド防御」タブで、SYN にチェックを入れます。アクションは「Random Early Drop」と「SYN Cookie」から選べます。ここでは SYN Cookie を選びます。

ゾーンプロテクションプロファイル – Untrust_Protect画面イメージ
フラッド防御 タブ ›› SYN
1SYN☑
2アクションSYN Cookie
3アラーム発生レート(コネクション/秒)10
アクティベーション(接続/秒)10
最大(接続/秒)40
UDP・ICMP・ICMPv6・Other IP
UDP ほか☐(既定値 10000 / 10000 / 40000 のまま)
図8 SYN フラッド保護の設定(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1SYNチェックを入れて、SYN フラッドの保護を有効にします。
2アクションSYN Cookie を選びます。
3しきい値検証用に、アラーム発生レート 10、アクティベーション 10、最大 40 と小さくしています。

SYN Cookie を選ぶと、アクティベーションを超えたとき、ファイアウォールがサーバの代わりに TCP の3ウェイハンドシェイクを受け持ちます。SYN を受けたファイアウォールは、Cookie を埋め込んだ SYN-ACK を自分で返し、クライアントから正しい ACK が返ってきた接続だけをサーバへ渡します。送信元を偽った SYN には ACK が返ってこないため、サーバには届きません。

クライアントPA-VMLinux サーバSYNSYN-ACK(Cookie 入り)サーバの代わりに応答ACKCookie を検証正しい接続だけ渡す
図9 SYN Cookie の動き
アクション特徴
SYN Cookie正規の接続を公平に通せますが、ファイアウォールの処理の負荷は大きくなります。
Random Early Dropパケットをランダムに破棄するので負荷は小さいですが、正規の接続も落ちることがあります。

この状態で、検証用の端末から hping3 を使い、Untrust ゾーンを通る SYN フラッドを発生させます。MONITOR ›› ログ ›› 脅威 を開くと、TCP Flood のログが出ていて、フラッド防御が動いたことがわかります。

PA-VM 管理画面画面イメージ
MONITOR ›› ログ ›› 脅威
タイプ脅威 ID/名送信元
ゾーン
宛先
ゾーン
送信元
アドレス
宛先
アドレス
アクション重大度
flood1TCP FloodUntrustUntrust0.0.0.00.0.0.0dropcritical
floodTCP FloodUntrustUntrust0.0.0.00.0.0.0dropcritical
図10 SYN フラッドの脅威ログ(実際の画面ではなく、表示結果のイメージです。宛先ポートとアプリケーションの列は省略しています)
No.表示意味
1TCP Floodタイプが flood、アクションが drop、重大度が critical(赤)のログです。送信元・宛先のアドレスは 0.0.0.0 と表示されています。フラッド防御は、送信元ごとではなくゾーン全体の接続数で判定する機能です。

CLI では、show zone-protection zone <ゾーン名> で、どの保護でどれだけパケットを破棄したかを確かめられます。

PA-VM

admin@PA-VM> show zone-protection zone Untrust

------------------------------------------------------------------------------------------
Number of zones with protection profile: 1
------------------------------------------------------------------------------------------
Zone Untrust, vsys vsys1, profile Untrust_Protect
------------------------------------------------------------------------------------------
  tcp-syn              SYN cookie enabled: yes
    DP alarm rate:          10 cps, activate rate:      10 cps, maximal rate:      40 cps
    current:                 0 packets
    dropped:                30 packets
    not TCP SYN:             0 packets
    not TCP SYN ACK:         0 packets
------------------------------------------------------------------------------------------
IPv(4/6) Filter:
  tcp-reject-non-syn:                         enabled: yes, (global), packet dropped: 0
  discard-tcp-syn-with-data:                  enabled: yes, packet dropped: 0
  discard-tcp-synack-with-data:               enabled: yes, packet dropped: 0
IPv4 packet filter:
IPv6 packet filter:
  routing-header-0:                             enabled: yes, packet dropped: 0
  routing-header-1:                             enabled: yes, packet dropped: 0
  routing-header-4-252:                             enabled: yes, packet dropped: 0
  routing-header-255:                             enabled: yes, packet dropped: 0
------------------------------------------------------------------------------------------
表示意味
Zone Untrust, … profile Untrust_ProtectUntrust ゾーンに Untrust_Protect が適用されています。
tcp-syn SYN cookie enabled: yesSYN フラッドの保護が、SYN Cookie で有効になっています。
alarm rate / activate rate / maximal rate設定したしきい値(10 / 10 / 40 cps)です。
dropped: 30 packetsSYN フラッドの保護で破棄したパケット数です。
tcp-reject-non-synTCP の最初のパケットが SYN でないものを拒否する設定です。(global) は、システム全体の設定に従っていることを表します。
discard-tcp-syn-with-data
discard-tcp-synack-with-data
データを含む SYN や SYN-ACK では TCP セッションを確立させない設定です。既定で有効です。
routing-header-0 などIPv6 のルーティングヘッダ(Type 0 など)を含むパケットを破棄する設定です。

UDP フラッドを防ぐ

次に UDP フラッドを確認します。「フラッド防御」タブで UDP にチェックを入れます。しきい値は、SYN と同じく検証用に小さくしています。SYN のチェックは外した状態で確認しています。

ゾーンプロテクションプロファイル – Untrust_Protect画面イメージ
フラッド防御 タブ ›› UDP
1UDP☑
2アラーム発生レート(コネクション/秒)10
アクティベーション(接続/秒)10
最大(接続/秒)40
SYN・ICMP・ICMPv6・Other IP
SYN☐(SYN Cookie / 10 / 10 / 40 の値は残したまま)
ICMP ほか☐
図11 UDP フラッド保護の設定(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1UDPチェックを入れて、UDP フラッドの保護を有効にします。UDP にはアクションの選択はありません。
2しきい値アラーム発生レート 10、アクティベーション 10、最大 40 です。

検証用の端末から hping3 で UDP フラッドを発生させ、MONITOR ›› ログ ›› 脅威 を開くと、UDP Flood のログが出ています。

PA-VM 管理画面画面イメージ
MONITOR ›› ログ ›› 脅威
タイプ脅威 ID/名送信元
ゾーン
宛先
ゾーン
送信元
アドレス
宛先
アドレス
アクション重大度
flood1UDP FloodUntrustUntrust0.0.0.00.0.0.0dropcritical
図12 UDP フラッドの脅威ログ(実際の画面ではなく、表示結果のイメージです。宛先ポートとアプリケーションの列は省略しています)
No.表示意味
1UDP FloodUDP フラッドの保護で破棄したことを表すログです。SYN フラッドと同じく、重大度は critical(赤)です。

show zone-protection zone Untrust もあわせて確認します。

PA-VM

admin@PA-VM> show zone-protection zone Untrust

------------------------------------------------------------------------------------------
Number of zones with protection profile: 1
------------------------------------------------------------------------------------------
Zone Untrust, vsys vsys1, profile Untrust_Protect
------------------------------------------------------------------------------------------
  udp                  RED enabled: yes
    DP alarm rate:          10 cps, activate rate:      10 cps, maximal rate:      40 cps
    current:                 0 packets
    dropped:               898 packets
------------------------------------------------------------------------------------------
IPv(4/6) Filter:
  tcp-reject-non-syn:                         enabled: yes, (global), packet dropped: 0
  discard-tcp-syn-with-data:                  enabled: yes, packet dropped: 0
  discard-tcp-synack-with-data:               enabled: yes, packet dropped: 0
IPv4 packet filter:
IPv6 packet filter:
  routing-header-0:                             enabled: yes, packet dropped: 0
  routing-header-1:                             enabled: yes, packet dropped: 0
  routing-header-4-252:                             enabled: yes, packet dropped: 0
  routing-header-255:                             enabled: yes, packet dropped: 0
------------------------------------------------------------------------------------------
表示意味
udp RED enabled: yesUDP フラッドの保護が有効で、RED(Random Early Drop)で破棄しています。
dropped: 898 packetsUDP フラッドの保護で破棄したパケット数です。

その他防御の設定と動作確認

偵察行為防御(TCP ポートスキャン)

偵察行為防御として TCP ポートスキャンの保護を設定し、実際にスキャンを実行してみます。ゾーンプロテクションプロファイルの「偵察行為防御」タブで、TCP ポートスキャンの「有効化」にチェックを入れ、アクションを block にします。

ゾーンプロテクションプロファイル – Untrust_Protect画面イメージ
偵察行為防御 タブ
スキャン有効化アクション間隔(SEC)しきい値(イベント)
1TCP ポートスキャン☑2block2100
ホストスイープ☐alert10100
UDP ポートスキャン☐alert2100
⋮ (送信元アドレスの除外:0 個の項目)
3OKキャンセル
図13 TCP ポートスキャンの保護(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1TCP ポートスキャン「有効化」にチェックを入れます。間隔 2 秒・しきい値 100 イベントは既定値のままで、2 秒の間に 100 イベントを超えるスキャンを検知します。
2アクションblock を選びます。
3OKOK をクリックし、コミットします。

アクションは、次の4つから選べます。

アクション動作
allowスキャンを検知しても、そのまま通します。
alert指定した間隔の中でしきい値を超えたスキャンごとに、アラートを出します。既定のアクションです。
blockその送信元から宛先への以降のパケットを、指定した間隔の残りの間、破棄します。
block-ip以降のパケットを、指定した期間(1〜3,600 秒)破棄します。「追跡」で、送信元だけを止めるか、送信元と宛先の組み合わせで止めるかを選びます。

block は、間隔の残りの短い時間だけ止める動作です。block-ip は、指定した期間のあいだ止め続けられます。block-ip を選ぶと、次のように追跡と期間を設定します。

偵察行為防御 タブ ›› TCP ポートスキャン ›› アクション画面イメージ
1アクションブロック IP
2追跡source-and-destination
3期間(sec)3600
図14 block-ip を選んだときの設定例(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1アクションブロック IP(block-ip)です。
2追跡source-and-destination を選ぶと、送信元と宛先の組み合わせで止めます。
3期間(sec)止める期間です。この例では上限の 3600 秒です。

アクションを block にした状態で、検証用の端末から nmap で TCP ポートスキャンを実行します。MONITOR ›› ログ ›› 脅威 を開くと、スキャンのログが出ていて、偵察行為防御が動いたことがわかります。

PA-VM 管理画面画面イメージ
MONITOR ›› ログ ›› 脅威
タイプ脅威 ID/名送信元
ゾーン
宛先
ゾーン
送信元
アドレス
宛先
アドレス
アクション重大度
scan1SCAN: TCP Port ScanUntrustTrust(伏せています)192.168.20.100dropmedium
図15 TCP ポートスキャンの脅威ログ(実際の画面ではなく、表示結果のイメージです。宛先ポートとアプリケーションの列は省略しています)
No.表示意味
1SCAN: TCP Port Scanタイプが scan、アクションが drop、重大度が medium(オレンジ)のログです。フラッドのログと違い、スキャンした送信元と宛先のアドレスが記録されます。

パケットベースの攻撃保護(ICMP 大型パケット)

パケットベースの攻撃保護として、大きな ICMP パケットを破棄する設定をし、実際にサイズの大きい ping を送ってみます。ゾーンプロテクションプロファイルの パケットベースの攻撃保護 ›› ICMP ドロップ タブで、「ICMP 大型パケット(>1024)」にチェックを入れます。

ゾーンプロテクションプロファイル – Untrust_Protect画面イメージ
パケットベースの攻撃保護 タブ ›› ICMP ドロップ
ICMP ping ID 0☐
ICMP フラグメント☐
1ICMP 大型パケット(>1024)☑
エラーメッセージとともに組み込まれている ICMP を破棄☐
ICMP TTL 失効エラーを抑制☐
ICMP フラグメント要求メッセージを抑制☐
2OKキャンセル
図16 ICMP 大型パケットの破棄(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1ICMP 大型パケット(>1024)チェックを入れると、1024 バイトより大きい ICMP パケットを破棄します。
2OKOK をクリックし、コミットします。

Untrust ゾーンを通る経路で 1024 バイトより大きい ping を送ると、応答が返ってこなくなります。show zone-protection zone Untrust で確かめると、大きな ICMP パケットが破棄されていることがわかります。

PA-VM

admin@PA-VM> show zone-protection zone Untrust

------------------------------------------------------------------------------------------
Number of zones with protection profile: 1
------------------------------------------------------------------------------------------
Zone Untrust, vsys vsys1, profile Untrust_Protect
------------------------------------------------------------------------------------------
IPv(4/6) Filter:
  discard-ip-frag:                            enabled: yes, packet dropped: 0
  tcp-reject-non-syn:                         enabled: yes, (global), packet dropped: 0
  discard-tcp-syn-with-data:                  enabled: yes, packet dropped: 0
  discard-tcp-synack-with-data:               enabled: yes, packet dropped: 0
IPv4 packet filter:
  discard-icmp-large-packet:                  enabled: yes, packet dropped: 521
IPv6 packet filter:
  routing-header-0:                             enabled: yes, packet dropped: 0
  routing-header-1:                             enabled: yes, packet dropped: 0
  routing-header-4-252:                             enabled: yes, packet dropped: 0
  routing-header-255:                             enabled: yes, packet dropped: 0
------------------------------------------------------------------------------------------
表示意味
discard-icmp-large-packet大きな ICMP パケットの破棄が有効で、521 パケットを破棄しています。
discard-ip-fragIP フラグメントの破棄が有効になっています(この時点で破棄は 0)。
注意

ICMP 大型パケットの破棄を有効にすると、大きなサイズの ping を使う確認作業(経路の MTU の確認など)も通らなくなります。有効にする前に、Untrust 側から大きな ICMP を使う運用がないかを確かめておきます。

うまくいかないとき

状態よくある原因確認すること
脅威ログが出ないプロファイルを、攻撃が入ってくるゾーンに適用していない/コミットしていないshow zone-protection zone で、ゾーンとプロファイル名が表示されるか
フラッドを流しても破棄されない新しい接続数がアクティベーションに届いていないしきい値と、dropped のカウンタが増えているか
スキャンが検知されない間隔内のイベント数がしきい値に届いていない、または送信元が除外されている間隔・しきい値と、送信元アドレスの除外の一覧
正規の通信まで落ちるしきい値が平常時の接続数より低い(検証用の値のまま など)平常時の接続数を測り、しきい値を見直す

まとめ

今回確認した設定と結果は、次のとおりです。

防御設定確認した結果
フラッド防御(SYN)SYN Cookie、10 / 10 / 40脅威ログに TCP Flood、dropped 30 packets
フラッド防御(UDP)RED、10 / 10 / 40脅威ログに UDP Flood、dropped 898 packets
偵察行為防御TCP ポートスキャン、block、2 秒 / 100 イベント脅威ログに SCAN: TCP Port Scan(drop)
パケットベースの攻撃保護ICMP 大型パケット(>1024)大きな ping が応答なし、packet dropped 521

ゾーンプロテクションは、プロファイルを作り、守りたいゾーン(攻撃が入ってくるゾーン)に適用して使います。動いたかどうかは、脅威ログと show zone-protection zone の破棄カウンタで確かめられます。しきい値は、検証用の値のまま本番に入れず、平常時の接続数をもとに決めてください。

現在の状況

この記事は PAN-OS 10.2.4 で検証しています。Palo Alto Networks の End-of-Life Summary では、PAN-OS 10.2 の標準サポートは 2025年8月27日に終了しており、Extended Support+ は 2027年3月31日までとなっています。新しいバージョンでは、画面の項目や表記が変わっていることがあります。

参考ドキュメント

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