【Active Directory】ユーザーのログオン認証の監査を設定する方法

ドメインのユーザーがいつ、どこで認証に成功したか、失敗したかを記録しておくと、不正なログオンの試みに気づいたり、トラブルの原因を追ったりできます。この記事では、グループポリシーで「アカウント ログオン イベントの監査」を有効にし、ドメインコントローラのイベントログで認証の失敗を確認します。

この記事でわかること
  1. Default Domain Policy で「アカウント ログオン イベントの監査」の成功と失敗を有効にする
  2. 認証の記録は、ドメインコントローラのセキュリティ ログに残る
  3. パスワードを間違えたときのイベント(4771)を確認する

アカウント ログオンとログオンの違い

監査ポリシーには、名前の似た「アカウント ログオン イベントの監査」と「ログオン イベントの監査」があります。ドメインのアカウントの場合、パスワードが正しいかを確かめる(認証する)のはドメインコントローラです。この認証の記録がアカウント ログオン イベントで、ドメインコントローラのセキュリティ ログに残ります。

一方、ログオン イベントは、ユーザーがログオンしたコンピューター(ファイル共有なら共有を持つサーバ)のセキュリティ ログに残ります。ドメインのユーザーの認証をまとめて追うなら、アカウント ログオン イベントの監査を使います。

Kerberos 認証(TGT の要求) パスワードが正しいかを DC が確かめる ドメイン参加の PC ユーザーがログオン ドメインコントローラ ログオン イベント PC のセキュリティ ログ 4624 成功 / 4625 失敗 アカウント ログオン イベント DC のセキュリティ ログ 4768 TGT の要求 4771 Kerberos 事前認証の失敗 など
図1 アカウント ログオン イベントとログオン イベントが記録される場所
監査ポリシー記録されるもの記録される場所主なイベント ID
アカウント ログオン イベントの監査ドメインのアカウントの認証(資格情報の確認)ドメインコントローラ4768、4771、4776 など
ログオン イベントの監査コンピューターへのログオンログオンしたコンピューター4624、4625 など

監査ポリシーを有効にする

ここでは、ドメインにリンクされている Default Domain Policy で監査ポリシーを設定します。ドメインにリンクした GPO は、Domain Controllers OU にあるドメインコントローラにも適用されます。Default Domain Policy については 【Active Directory】デフォルトドメインポリシーについて で紹介しています。

Default Domain Policy を編集する

スタートメニューから Windows 管理ツール ›› グループ ポリシーの管理 を開き、ドメイン(hirotanoblog.local)の下の Default Domain Policy を選びます。

画面イメージについて

この記事の画面は、実際の画面ではなく、検証時の画面から設定する項目(見るポイント)を抜き出して描いたイメージです。バージョンによって、項目の並びや表記は変わります。

グループ ポリシーの管理画面イメージ
▾ フォレスト: hirotanoblog.local  ▾ ドメイン    ▾ hirotanoblog.local1        Default Domain Policy (リンクの場所:hirotanoblog.local)      › Domain Controllers      › sales      › 営業部      › グループ ポリシー オブジェクト
図2 Default Domain Policy を選ぶ(実際の画面ではなく、操作のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1Default Domain Policyドメイン(hirotanoblog.local)にリンクされた GPO。右クリックして「編集」を選ぶ

Default Domain Policy を右クリックして 編集 を選ぶと、グループ ポリシー管理エディターが開きます。

アカウント ログオン イベントの監査を設定する

コンピューターの構成 ›› ポリシー ›› Windows の設定 ›› セキュリティの設定 ›› ローカル ポリシー ›› 監査ポリシー を開き、「アカウント ログオン イベントの監査」をダブルクリックします。

グループ ポリシー管理エディター(Default Domain Policy)画面イメージ
… ›› セキュリティの設定 ›› ローカル ポリシー ›› 監査ポリシー
ポリシーポリシー設定
1アカウント ログオン イベントの監査未定義
アカウント管理の監査未定義
オブジェクト アクセスの監査未定義
システム イベントの監査未定義
ディレクトリ サービスのアクセスの監査未定義
プロセス追跡の監査未定義
ポリシーの変更の監査未定義
ログオン イベントの監査未定義
特権使用の監査未定義
図3 監査ポリシーの一覧(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1アカウント ログオン イベントの監査既定では未定義。ダブルクリックしてプロパティを開く

「これらのポリシーの設定を定義する」にチェックを入れ、「成功」と「失敗」の両方にチェックを入れて「OK」をクリックします。成功と失敗の両方を記録するので、認証の試みがすべて監査されます。

アカウント ログオン イベントの監査のプロパティ画面イメージ
セキュリティ ポリシーの設定 / 説明
1ポリシーの定義☑ これらのポリシーの設定を定義する(D)
2次の場合に監査する☑ 成功(S)
☑ 失敗(F)
3OKキャンセル適用(A)
図4 成功と失敗を監査する(実際の画面ではなく、設定項目のポイントを示したイメージです)
No.項目設定内容
1これらのポリシーの設定を定義するチェックを入れる
2成功、失敗両方にチェックを入れる。失敗だけを記録したい場合は失敗だけでもよい
3OK設定を保存する

設定は、グループポリシーの更新でドメインコントローラに反映されます。すぐに反映させたい場合は、ドメインコントローラで gpupdate を実行します。反映されたかどうかは、auditpol /get /category:* で確かめられます。

設定する GPO と監査ポリシーの種類
  • Default Domain Policy はドメインのすべてのコンピューターに適用されます。ドメインコントローラだけを監査したい場合は、Domain Controllers OU にリンクした GPO(Default Domain Controllers Policy や監査用に作った GPO)で設定します。
  • 監査ポリシーには、ここで使った基本の監査ポリシーのほかに、セキュリティの設定 ›› 監査ポリシーの詳細な構成 があります。詳細な構成では、Kerberos 認証サービスや資格情報の確認など、サブカテゴリごとに設定できます。基本と詳細を同じコンピューターに混ぜて設定すると、意図しない結果になるので、どちらかに統一します。

ログオン イベントを確認する

アカウント ログオン イベントは、ドメインコントローラのセキュリティ ログに記録されます。ドメインコントローラで Windows + R キーを押して「ファイル名を指定して実行」を開き、eventvwr.msc を入力してイベント ビューアーを開きます。Windows ログ ›› セキュリティ を見ます。イベント ビューアーの使い方は 【Windows】イベントログ/イベントビューアー 起動とフィルター で紹介しています。

今回は、ドメインのユーザー(ユーザー名は伏せています)で、わざとパスワードを間違えてログオンしました。ドメインコントローラ(AD-1)のセキュリティ ログに、「失敗の監査」としてイベント ID 4771 が記録されています。

イベント プロパティ – イベント 4771, Microsoft Windows security auditing.画面イメージ
全般 / 詳細
1Kerberos 事前認証に失敗しました。
アカウント情報: セキュリティ ID HIROTANOBLOG\(伏せています) / アカウント名 (伏せています)
ログの名前(M)セキュリティ
ソース(S)Microsoft Windows security auditing.
2イベント ID(E)4771
タスクのカテゴリ(Y)Kerberos Authentication Service
3キーワード(K)失敗の監査
ログの日付(D)2023/04/16 23:27:20
4コンピューター(R)AD-1.hirotanoblog.local
図5 パスワードを間違えたときに記録されたイベント 4771(実際の画面ではなく、表示のポイントを示したイメージです)
No.表示意味
1Kerberos 事前認証に失敗しましたログオンしようとしたアカウントの、Kerberos の事前認証(パスワードの確認)が失敗した
2イベント ID 4771 / Kerberos Authentication Serviceアカウント ログオンのうち、Kerberos 認証サービスのイベント
3失敗の監査失敗の監査を有効にしたので記録された
4AD-1.hirotanoblog.local認証したドメインコントローラで記録されている

イベントの説明を下にスクロールすると、どのコンピューターから認証を試みたか(クライアント アドレス)や、失敗の理由を表すエラー コードを確認できます。エラー コード 0x18 は、パスワードの誤りによる事前認証の失敗です。

アカウント ログオンでよく見るイベントは次のとおりです。

イベント ID意味サブカテゴリ
4768Kerberos 認証チケット(TGT)が要求されたKerberos 認証サービス
4771Kerberos 事前認証に失敗したKerberos 認証サービス
4769Kerberos サービス チケットが要求されたKerberos サービス チケット操作
4776ドメインコントローラがアカウントの資格情報を確認した(NTLM など)資格情報の確認

セキュリティ ログは、イベントが多くなると古いものから上書きされます。ログオンの記録を長く残したい場合は、ログの最大サイズを大きくしたり、ログを収集するしくみ(SIEM など)に送ったりします。

まとめ

項目内容
設定する場所コンピューターの構成 ›› ポリシー ›› Windows の設定 ›› セキュリティの設定 ›› ローカル ポリシー ›› 監査ポリシー ›› アカウント ログオン イベントの監査
設定値これらのポリシーの設定を定義する、成功、失敗
記録される場所認証したドメインコントローラのセキュリティ ログ
パスワードの誤りイベント ID 4771(Kerberos 事前認証の失敗、失敗の監査)

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