【初心者わかりやすく】オーバーレイ、アンダーレイを理解するには

 

SDN(Software Defined Networking)や SD-WAN の話題では、オーバーレイ(Overlay)とアンダーレイ(Underlay)という言葉がよく出てきます。アンダーレイは実際の物理的なネットワーク、オーバーレイはその上に作る仮想的なネットワークです。

この記事では、端末を地面に差し込んだたとえを使って、2つのネットワークの関係をイメージでつかみます。そのうえで、オーバーレイをどうやって作るのかを、トンネル技術の VXLAN を例に説明します。

この記事でわかること
  1. オーバーレイとアンダーレイの違い
  2. 端末から見たネットワークと、実際の物理ネットワークの関係
  3. オーバーレイをトンネル(VXLAN など)で作るしくみ

オーバーレイとアンダーレイとは

用語意味例
アンダーレイ実際にパケットを運ぶ物理的なネットワーク。ルータやスイッチ、回線でできているデータセンタ内の IP ネットワーク、インターネット、閉域網
オーバーレイアンダーレイの上に作る仮想的なネットワーク。端末からは、こちらのネットワークだけが見えるVXLAN で延ばした L2 セグメント、SD-WAN の拠点間トンネル

オーバーレイ、アンダーレイのイメージ

地面に端末を2台差し込んだ場面を考えます。地面の下は見えません。端末A(192.168.1.1)から、地面に向けて端末B(192.168.1.2)宛てのパケットを送ると、なぜか端末Bにそのパケットが届きます。

端末A192.168.1.1端末B192.168.1.2地面S: 192.168.1.1D: 192.168.1.2S: 192.168.1.1D: 192.168.1.2地面の下で何が起きているかは見えない
図1 地面に向けて送ったパケットが端末Bに届く

地面の下で何が起きているのかは、端末からはまったくわかりません。それでも端末Aから送ったパケットは端末Bに届くので、端末Aと端末Bからは、お互いが同じスイッチにつながっているように見えます。

ところが実際の地面の下には、たくさんのルータがあり、それらがつながって端末Aと端末Bの間を運んでいるとします。端末Aと端末Bが離れた場所にあり、間にインターネットをはさむこともあります。

オーバーレイ(端末から見えるネットワーク)端末A端末B同じスイッチにつながっているように見える地面アンダーレイ(実際の物理ネットワーク)トンネル(VXLAN など)ルータルータ間に複数のルータ(インターネットのことも)
図2 オーバーレイ(端末から見えるネットワーク)とアンダーレイ(実際の物理ネットワーク)

端末Aと端末Bは、地面の下にルータがあることを知りませんし、意識もしません。このように、地面の下にある実際の物理ネットワークをアンダーレイネットワーク、端末Aと端末Bが同じスイッチにつながっているように見える仮想的なネットワークをオーバーレイネットワークといいます。

オーバーレイはトンネルで作る

オーバーレイネットワークは、アンダーレイの上でトンネル技術を使って作ります。この例では、端末Aと端末Bは同じネットワークセグメント(192.168.1.0/24)にあるように見えます。しかし実際には間に複数のルータがあり、ルータは L2 フレームをそのまま転送しません。

そこで、端のルータで VXLAN(Virtual eXtensible Local Area Network)などのトンネル技術を使います。端末Aが送ったフレームを、ルータ間のアドレスを持つ外側のヘッダで包んで(カプセル化して)運び、反対側のルータで外側のヘッダを外して端末Bに渡します。これで、離れた場所に同じ L2 セグメント(VLAN)を延ばしたオーバーレイができます。

元のフレーム(端末A → 端末B)EthernetIPS:192.168.1.1 D:192.168.1.2データカプセル化したパケット(ルータ間)外側Ethernet外側 IPルータ間のアドレスUDPVXLANEthernetIPS:192.168.1.1 D:192.168.1.2データアンダーレイのルータはこの部分を見て転送する元のフレームはそのまま運ばれる
図3 VXLAN のカプセル化

アンダーレイのルータは、外側の IP ヘッダだけを見て転送し、中の元のフレームは見ません。そのため、アンダーレイに必要なのは、トンネルの両端のルータどうしが IP で通信できることだけです。オーバーレイ側の端末のアドレスは、アンダーレイのルーティングに入れる必要がありません。

使われる場面オーバーレイアンダーレイ主なトンネル技術
データセンタ(SDN)サーバや仮想マシンをつなぐ L2 セグメントデータセンタ内の IP ネットワークVXLAN
拠点間(SD-WAN)拠点どうしをつなぐ仮想的な WANインターネット回線や閉域網IPsec、GRE など
注意

カプセル化すると、外側のヘッダの分だけパケットが大きくなります。VXLAN では、外側の Ethernet、IP、UDP、VXLAN ヘッダで約 50 バイト増えます。アンダーレイの MTU が足りないと、大きなパケットが分割されたり届かなくなったりするので、アンダーレイの MTU を大きくするか、オーバーレイ側の MTU を小さくして合わせます。

まとめ

項目アンダーレイオーバーレイ
実体物理的なネットワーク(ルータ、スイッチ、回線)アンダーレイの上に作る仮想的なネットワーク
端末から見えない(意識しない)見える(同じスイッチにつながっているように見える)
見るアドレストンネルの両端のルータのアドレス(外側のヘッダ)端末のアドレス(元のフレーム)
作り方IP でルータどうしをつなぐトンネル技術(VXLAN、IPsec、GRE など)でカプセル化する

オーバーレイは「端末から見えるネットワーク」、アンダーレイは「それを実際に運ぶネットワーク」です。SDN や SD-WAN の構成を見るときは、どちらの話をしているのかを分けて考えると理解しやすくなります。

コメント