マルチキャストルーティングは、初めのうちは、なかなかイメージが湧かず、難しいと思います。 ここでは、よく使用するPIM-SMをベースに簡単なネットワーク構成からマルチキャストルーティングでよく使うケースを考えて見ましょう。
マルチキャストルーティングの登場人物を考えていきます。まず、一番は、マルチキャスト配信する配信サーバと受信機があります。
配信サーバと受信機が同じネットワークセグメントにあれば、配信サーバから送信されたマルチキャストは受信機で受信できます。 なぜなら、マルチキャストは、ブロードキャストと同様にセグメント内の全端末まで通信は届きます。 端末側で受信するか否かは、端末側で必要なら受け取ります。(必要でなければ破棄します)
また、配信サーバは、誰がマルチキャストを受信したいのかは気にしていません。また、受信機側もマルチキャスト配信しているサーバが誰かは意識する必要もなく、かつそのサーバに配信を要求する必要もありません。 同一セグメントであるがゆえに、配信サーバはマルチキャストを流せば、勝手に受信機側まで届くので、このようなことを考えなくともマルチキャスト通信ができます。
例えば、マルチキャスト239.1.1.1の場合
ただし、配信サーバと受信機の間にルータは入ると、話が変わります。まず、用語として、配信サーバに接しているルータをファーストホップルータ(FHR)、受信機に接しているルータをラストホップルータ(LHR)と言います。
ここで、ファーストホップルータ(FHR)、ラストホップルータ(LHR)ともに問題があります。
ファーストホップルータ(FHR)は配信サーバから受信したマルチキャストをどこに配信してあげれば良いかわかりません。 受信機がどこにあるのかわからないからです。 また、ラストホップルータ(LHR)は受信機からマルチキャストを配信してほしいと要求を受けても、どこに配信サーバがあるのかわからないので、次の要求先がわかりません。
では、このFHRとLHRを出会わせるには、どうすれば良いでしょうか。これがランデブーポイントを導入することで解決します。
ランデブーとは「出会い」という意味があり、配信サーバと受信機が出会う場所です。 FHRから見ると、受信機はきっとランデブーポイントに行けば、出会えると思います。 LHRからすると、配信サーバはきっとランデブーポイントに行けば、出会えると思います。
FHRからRPには、マルチキャストの登録処理(PIMレジスタ)によりマルチキャストを配信し、LHRからRPはマルチキャストの参加要求(PIM Join)が行われます。 (PIMについては、別の記事で書きます)
これで、配信サーバからのマルチキャストがランデブーポイント経由で、受信機に届きます。
これでマルチキャストが配信されました。
しかし、この場合、マルチキャスト通信は、RPを経由するのではなく、FHRから直接LHRへ配信した方が、ネットワーク的に最短ですよね。 できれば最短経路に切り替えたいわけです。
ランデブーポイントを経由して、マルチキャストが配信されたことで、LHRは配信サーバのIPアドレスが何かわかるようになります。そのため、さっきはマルチキャストの参加要求をランデブーポイントにしましたが、今度は配信サーバ向けに直接、参加要求します。
これで、ランデブーポイントを経由しないマルチキャスト配信ができるようになります。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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