「RPC サーバーを利用できません」。AD のレプリケーションやリモートからのサーバ管理で、このエラーを見たことがある人は多いと思います。RPC は、Windows のドメインの裏側でいつも動いている通信のしくみです。この記事では、RPC が 135 番ポートで行き先を聞いてから動的ポートにつなぎ直す流れと、ファイアウォールで開けるポート、動的ポートを狭める方法、エラーの切り分け方を説明します。
- RPC とは何か、Windows のどこで使われているか
- 135 番ポート(エンドポイントマッパー)と動的ポートの関係
- ファイアウォールで開けるポートと、動的ポートを狭める方法
- 「RPC サーバーを利用できません」(1722)と 1753 の切り分け方
RPC とは
RPC(Remote Procedure Call、リモートプロシージャコール)は、ほかのコンピュータにある関数(プロシージャ)を、自分のコンピュータの中の関数のように呼び出すしくみです。たとえば PC01 のプログラムが「DC01 さん、この処理をして結果をください」と頼むとき、プログラムは関数を呼ぶだけで済みます。呼び出しをデータに変えてネットワークで送り、相手側で呼び出しに戻す作業は、RPC のしくみ(RPC ランタイム)が引き受けます。
ファイル共有の SMB や、ディレクトリを読む LDAP は、それぞれ決まった用途のための通信です。RPC はそれとは違い、いろいろなサービスが自分の機能を外から呼べるようにするための「共通の土台」です。サービスごとに「この関数を、この引数で呼べる」という約束(インターフェース)があり、インターフェースは UUID という長い番号で区別します。たとえば AD のレプリケーションに使う DRS(Directory Replication Service)のインターフェースは e3514235-4b06-11d1-ab04-00c04fc2dcd2 です。
Windows のどこで使われているか
RPC は、ふだん意識しないところでたくさん使われています。
| 使っている機能 | 何をしているか |
|---|---|
| AD のレプリケーション | DC と DC のあいだで AD のデータを同期する。DRS のインターフェースを RPC で呼ぶ |
| Netlogon | PC・サーバと DC のあいだのセキュアチャネルや、NTLM のパススルー認証。DC の Netlogon は、名前付きパイプと TCP の両方で待っている |
| リモートからの管理 | 別のコンピュータのサービスやイベントログを見る、コンピュータの管理を開く、など |
| DCOM・WMI | DCOM は RPC の上に作られたしくみ。証明書の登録や、WMI を使った監視ツールが使う |
Netlogon とセキュアチャネルについては「Netlogonとセキュアチャネルとは?」の記事で説明しています。
135 番ポートと動的ポート
RPC の通信でいちばん大事なのは、「2段階でつなぐ」という点です。RPC のサービスは、決まったポートで待っているとは限りません。多くのサービスは、起動するときに空いているポートを割り当ててもらい、そこで待ちます。このポートを動的ポートと呼びます。
クライアントは、相手が何番で待っているかを知りません。そこで、まず相手の TCP 135 番に「この UUID のサービスは何番にいますか」と聞きます。135 番で答えているのがエンドポイントマッパー(Endpoint Mapper、EPM)です。教わった番号に改めてつなぎ直してから、本当の用件を話します。
会社の代表番号に電話して、受付で担当者の内線番号を教わり、かけ直すのと同じです。135 番は受付で、用件そのものは受付では話しません。そのため、ファイアウォールで 135 番だけを開けても RPC は動きません。教わった動的ポートにも届く必要があります。
エンドポイントマッパーの中身
RPC のサービスは、起動したときに「自分の UUID」と「待っているポートや名前付きパイプ」をエンドポイントマッパーに登録します。エンドポイントマッパーは、その一覧を見て問い合わせに答えます。
動的ポートは起動のたびに割り当てられるので、サービスやコンピュータを再起動すると番号が変わることがあります。「昨日は 49664 だったのに今日は違う」というのは正常な動きです。決まった番号で待っているサービス(LDAP の 389 や SMB の 445 など)は、エンドポイントマッパーには登録されません。
動的ポートの範囲
動的ポートは、決められた範囲の中から選ばれます。Windows Vista と Windows Server 2008 から、既定の範囲は 49152〜65535 です。それより前の Windows(Windows Server 2003 まで)は 1025〜5000 でした。
この範囲は、RPC のサービスが待つ番号だけでなく、通信を始める側が使う送信元ポートにも使われます。範囲は TCP と UDP、IPv4 と IPv6 で別々に決まっていて、netsh int ipv4 show dynamicport tcp で確かめられます。
DCOM とは
「Windows のどこで使われているか」の表に出てきた DCOM(Distributed COM)について、少し補足します。COM は、Windows のプログラムの部品(オブジェクト)を、ほかのプログラムから呼び出すためのしくみです。Excel をほかのプログラムから操作できるのも COM のおかげです。DCOM は、この COM をネットワーク越しに使えるようにしたもので、通信には RPC を使います。
DCOM では、まず相手の TCP 135 番(RPCSS というサービス)に「このオブジェクトを使いたい」と頼みます。これをアクティベーションと呼びます。相手はオブジェクトを用意して、「この IP アドレスの、このポートに来てください」と答えます。クライアントは教わった動的ポートに直接つないで、オブジェクトのメソッド(関数)を呼びます。
流れは普通の RPC とよく似ていますが、答えの中に IP アドレスがそのまま入る点が違います。このため、あとで説明するように、途中でアドレスを変換する(NAT する)ファイアウォールを越えられません。
| DCOM を使う例 | 補足 |
|---|---|
| WMI のリモート接続 | 監視ツールや Get-WmiObject は DCOM を使う。非同期の呼び出しでは、サーバからクライアントへの折り返しの通信(コールバック)も起きる |
| 証明書の登録 | AD 証明書サービス(CA)への証明書の申請 |
| MS DTC | SQL Server などの分散トランザクション |
WMI は、DCOM のほかに WinRM(WS-Management、HTTP の上で動くしくみ)でも使えます。PowerShell の Get-CimInstance などの CIM のコマンドは、既定では WinRM を使います。WinRM なら決まったポートで済むので、ファイアウォールを越えて WMI を使うときは、WinRM を使えないか先に検討するとよいでしょう。
名前付きパイプを通る RPC
RPC には、TCP で直接つなぐ方法のほかに、SMB の名前付きパイプを通る方法があります。名前付きパイプは、SMB の IPC$ という特別な共有の中にある「話をするための口」で、\pipe\lsass や \pipe\netlogon のような名前がついています。この方法なら、使うのは SMB の TCP 445 番だけです。
| 名前 | 通り道 | 使うポート |
|---|---|---|
| ncacn_ip_tcp | TCP で直接 | TCP 135 で行き先を聞き、動的ポートにつなぐ |
| ncacn_np | 名前付きパイプ(SMB) | TCP 445。SMB の接続の上で話す |
| ncalrpc | 同じコンピュータの中 | ネットワークを通らない |
どの通り道を使うかは、サービスとクライアントの作りで決まります。同じサービスが両方で待っていることもよくあります。たとえば別のコンピュータのサービスを操作するとき、Windows Vista 以降のクライアントはまず TCP で試し、つながらなければ名前付きパイプでやり直します。TCP がファイアウォールで止められていると、やり直すまでに 20 秒以上待つことがあり、「サービスの画面がなかなか開かない」原因になります。IPC$ については「管理共有(C$・ADMIN$・IPC$)とは?」、SMB については「SMBとは?」の記事で説明しています。
ファイアウォールで開けるポート
PC やサーバと DC のあいだにファイアウォールがあるときは、RPC のために TCP 135 と動的ポートの範囲を DC に向けて開けます。AD ではほかにも DNS や Kerberos、LDAP などを使うので、あわせて開けます。
| DC 側のポート | 用途 |
|---|---|
| TCP 135 | RPC のエンドポイントマッパー |
| TCP 49152〜65535 | RPC の動的ポート(LSA・SAM・Netlogon、レプリケーションなど) |
| TCP・UDP 53 | DNS |
| TCP・UDP 88 | Kerberos |
| UDP 123 | 時刻同期(W32Time) |
| TCP・UDP 389 | LDAP |
| TCP 445 | SMB(名前付きパイプを通る RPC もここ) |
| TCP・UDP 464 | Kerberos のパスワード変更 |
| TCP 636 | LDAP over TLS(LDAPS) |
| TCP 3268・3269 | グローバルカタログ(3269 は TLS) |
| TCP 9389 | Active Directory Web Services(AD の PowerShell などが使う) |
すべての場面で全部が必要なわけではありません。たとえば LDAPS を使うクライアントがいなければ 636 と 3269 はいりません。DC と DC のあいだのファイアウォールなら、レプリケーションの通信(DFSR の RPC など)も動的ポートの範囲で通す必要があります。
Windows Server 2003 以前の Windows が残っている環境では、昔の範囲(1025〜5000)も開ける必要があります。いまの Windows だけなら 49152〜65535 で足ります。
Windows ファイアウォールで受け付けるとき
サーバ側の Windows Defender ファイアウォールで RPC を受け付けるには、規則を2つ作ります。1つ目は、RPC サービス(RpcSs)に向けた TCP 135 番を許可する規則で、ローカルポートに「RPC エンドポイント マッパー」を選びます。2つ目は、受け付けたいサービスに向けて、ローカルポートに「RPC 動的ポート」を選ぶ規則です。こうすると、エンドポイントマッパーが割り当てた番号への通信だけが許可されるので、49152〜65535 をまるごと開けるより狭くできます。
ファイアウォールの機種による違い
次世代ファイアウォールの多くは、RPC の中身を読んで通す機能を持っています。135 番の問い合わせへの答えを読んで、エンドポイントマッパーが教えたポート番号を覚えておき、その番号への通信だけを一時的に通すしくみです。対応している機種なら、49152〜65535 をまるごと開けなくて済みます。
この「あとから来る通信のために、通り道を一時的に開けておく」動きは、FTP のデータ通信などでも使われているもので、ピンホールと呼ばれます。どの機種でも、ファイアウォールが 135 番のやり取りを読めることが前提です。なお、名前付きパイプ(445)を通る RPC は動的ポートを使わないので、この機能とは関係ありません。
Palo Alto Networks(PAN-OS)の場合
Palo Alto のファイアウォールは、通信をアプリケーション(App-ID)として見分けます。RPC は msrpc-base というアプリケーションとして識別され、AD の通信は active-directory、WMI は ms-wmi のように、RPC の上で動くアプリケーションとして識別されます。Applipedia では、msrpc-base の標準ポートは tcp/dynamic・udp/dynamic と書かれていて、active-directory や ms-wmi は msrpc-base を暗黙に使う(Implicit use)アプリケーションになっています。
動的ポートの通信は、予測セッション(predict session)という形で受け入れます。Palo Alto のナレッジベースでは、msrpc-base は「予測セッションを作る、または ALG を必要とするアプリケーション」の一覧に入っています。予測セッションは、データが届くと普通のセッションに変わり、セッションの詳細に「session via prediction」と表示されます。
そのため、セキュリティポリシーはポート番号ではなく、アプリケーション名(msrpc-base と、使いたい active-directory や ms-wmi など)で書くことになります。サービスを application-default にすると、それぞれのアプリケーションの標準ポートだけで許可できます。予測セッションの一覧は、CLI の show session all filter type predict で確かめられます。
FortiGate(FortiOS)の場合
FortiGate では、セッションヘルパーという機能が RPC を扱います。dcerpc というセッションヘルパーが、既定で TCP と UDP の 135 番に割り当てられていて、エンドポイントマッパーのやり取りを読みます。そして、教わった動的ポートへの通信のために、期待セッション(expectation session)を作ります。
ポリシーは、135 番の通信(サービス DCE-RPC、または ALL)を許可するものだけを書きます。動的ポートへの通信は期待セッションに一致して通るので、別のポリシーはいりません。ログ上は、親の 135 番のセッションと同じポリシー ID が付きます。Fortinet の資料では、UUID ごとに許可するポリシーも作れると説明されています。
注意点もあります。期待セッションはポリシーで個別に制御できないので、Fortinet のナレッジベースでは、細かく制御したいときはセッションヘルパーを外し、必要なポートをポリシーで明示的に許可する方法も紹介されています。また、DCE-RPC のセッションヘルパーは、宛先 NAT(バーチャル IP)には対応していません(OXID Resolver のサービスを除く)。セッションヘルパーの設定は、CLI の show system session-helper で確かめられます。
| 項目 | Palo Alto(PAN-OS) | FortiGate(FortiOS) |
|---|---|---|
| しくみの名前 | App-ID(msrpc-base)と予測セッション | セッションヘルパー(dcerpc)と期待セッション |
| ポリシーの書き方 | アプリケーション名(msrpc-base、active-directory など)で許可。サービスは application-default | 135 番(DCE-RPC)を許可。動的ポートは期待セッションで通る |
| 動的ポートの通信 | App-ID で中身も識別される | 親のセッションと同じポリシー ID が付く |
| 確かめるコマンド | show session all filter type predict | show system session-helper |
ここに書いた動きは、各社の公開資料から読み取れる範囲のものです。対応の細かい点は OS のバージョンで変わることがあるので、導入するときは、お使いのバージョンの資料と実機の動きで確かめてください。Palo Alto では、予測セッションを作るアプリケーションの一覧を CLI で表示できます(設定モードで show predefined application | match "alg yes")。
DCOM は NAT を越えられない
DCOM は、通信の中に相手の IP アドレスをそのまま書き込みます。そのため、途中でアドレスを変換する(NAT する)ファイアウォールを越えて DCOM を使うことはできません。ファイアウォールが RPC を読めるかどうかとは別の問題なので、拠点間で NAT をしている構成では注意してください。
動的ポートの範囲を狭める
「49152〜65535 をまるごと開けるのは広すぎる」というときは、RPC が使うポートを狭められます。方法は大きく3つあります。
Microsoft は、サービスにポートを決める設定があるなら、まずそれを使うように勧めています。A の方法は、サービスにそうした設定がないときのためのものです。どの方法でも、範囲を狭めすぎるとポートが足りなくなり、サービスが起動しなくなったり通信に失敗したりします。
A:RPC 全体の範囲を決める
レジストリの HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Rpc の下に Internet というキーを作り、次の3つの値を入れます。このキーは最初からはないので、自分で作ります。
| 値の名前 | 種類 | データの例 | 意味 |
|---|---|---|---|
| Ports | REG_MULTI_SZ | 5000-6000 | ポートの範囲。1行に1つの番号か範囲を書く |
| PortsInternetAvailable | REG_SZ | Y | Y なら、Ports に書いた番号を「使ってよい番号」とする |
| UseInternetPorts | REG_SZ | Y | Y なら、RPC のサービスに上の番号から割り当てる |
コンピュータを再起動すると、RPC の動的ポートはこの範囲から選ばれるようになります。5000-6000 は Microsoft の資料で説明に使われている例で、おすすめの範囲ではありません。5000 より大きい番号を選び、少なくとも 100 個は残すように説明されています。通信の多いサーバでは、もっと多く必要です。
Ports の値に読めない文字が入っていたり、範囲が 0〜65535 の外だったりすると、設定全体が無効と見なされます。この状態や、ポートが足りない状態では、エンドポイントマッパーにサービスを登録できません。Netlogon が登録できないと、システムログにイベント 5820(The Netlogon service could not add the AuthZ RPC interface)が記録され、Netlogon が止まります。DC で試すときは、1台で確かめてから広げてください。
B:AD の RPC だけを決まった番号にする
AD の RPC は、DC ごとにレジストリで番号を決められます。設定するのは次の2つです。
| キー | 値の名前(DWORD) | 反映のしかた |
|---|---|---|
| HKLM\SYSTEM\ | TCP/IP Port | DC を再起動する |
| HKLM\SYSTEM\ | DCTcpipPort | Netlogon サービスを再起動する |
1つ目はレプリケーションやクライアントからの AD の RPC(DRS・SAM・LSA など)、2つ目は Netlogon の RPC の番号です。クライアントは Netlogon 以外の RPC も使うので、必ず2つとも設定し、ファイアウォールでも2つとも開けます。2つに同じ番号を入れてはいけません。同じ番号にすると、Netlogon のイベント 5809(ポートが使用中)が記録されます。なお、別の番号にしていても、Netlogon を再起動したときに 5809 が1回記録されることがあります。これは RPC のポートの扱いによる仕様で、再起動後は設定した番号が使われるので、気にしなくてかまいません。
決まった番号にしても、サービスはエンドポイントマッパーへの登録を続けます。クライアントは今までどおり 135 番で番号を聞き、決まった番号を教わってつなぎます。つまり、ファイアウォールでは TCP 135 と、決めた2つの番号を開けることになります。DFSR など、ほかのレプリケーションのサービスは別に設定が必要です。
C:動的ポートの範囲そのものを変える
netsh int ipv4 set dynamicport tcp start=10000 num=1000 のようにすると、動的ポートの範囲そのものを変えられます。この例では 10000〜10999 の 1000 個になります。範囲は 255 個以上、始まりは 1025 以上にする必要があります。
この方法は、RPC のサービスが待つ番号だけでなく、そのコンピュータが外へ通信するときの送信元ポートもこの範囲に変えてしまいます。範囲が小さすぎると、通信の多いサーバでポートが足りなくなる(ポート枯渇)ことがあるので、影響が大きい方法だと考えてください。
「RPC サーバーを利用できません」の切り分け
RPC のエラーでよく見るのは、次の3つです。番号だけが表示されることも多いので、10進と16進の両方を覚えておくと便利です。
| エラー | 表示される文と、よくある原因 |
|---|---|
| 1722(0x6BA) | 「RPC サーバーを利用できません」(The RPC server is unavailable)。相手に TCP でつなげなかった。DNS の名前の引き間違い、ファイアウォールで動的ポートが止められている、相手が止まっている、など。いちばん多いのは、135 番には届くのに動的ポートに届かないケース |
| 1753(0x6D9) | There are no more endpoints available from the endpoint mapper。135 番には届いたが、エンドポイントマッパーにそのサービスが登録されていなかった。サービスが止まっている、起動に失敗した、DNS の間違いで別のコンピュータにつないでいる、など。ネットワークがつながらないことが原因ではない |
| 1727(0x6BF) | The remote procedure call failed and did not execute。エンドポイントマッパーまではつながったが、そのあとの接続が途中で切れた。途中のファイアウォールや WAN 高速化装置、相手の負荷など |
証明書の登録などでは、同じエラーが 0x800706BA のように表示されることもあります。下の4けたが 06BA なら、中身は 1722 です。
調べる順番
図3の2段階の接続を、前から順に確かめていきます。
- 名前を引いて、正しい IP アドレスが返るか確かめます。古い DNS レコードや hosts ファイルのせいで別のコンピュータにつないでいると、1722 や 1753 になります。
Test-NetConnectionで TCP 135 に届くか確かめます。届かなければ、ファイアウォールか、相手の RPC サービスの問題です。- PortQry でエンドポイントマッパーに問い合わせ、目的のサービスが登録されているか確かめます。結果には、サービスの UUID と名前、
ncacn_ip_tcp:IP アドレス[ポート番号]の形で待っているポートが並びます。AD のレプリケーションなら「MS NT Directory DRS Interface」を探します。 - 手順3で分かったポートに、
Test-NetConnectionで届くか確かめます。ここで届かないのが、1722 のいちばん多いパターンです。 - つながるのにアクセス拒否(5)などになるときは、認証や権限の問題です。Kerberos と NTLM の調べ方は「Windows認証の調べ方」の記事で説明しています。
手順2〜4でもはっきりしないときは、クライアントとサーバの両方で同時にネットワークトレースを取り、135 番の問い合わせの答え(ポート番号)と、そのポートへの接続(SYN の再送がないか)を見ます。
PortQry は Windows に最初から入っているコマンドではありません。Microsoft のダウンロードセンターから入手します。-e 135 を付けて TCP 135 に問い合わせると、エンドポイントマッパーに登録されている一覧を表示します。
RPC と認証
RPC の通信にも認証があります。クライアントは、つなぎ直したあとのバインドのときに認証します。ドメインの中では、多くの場合 Negotiate を通して Kerberos か NTLM が使われます。認証の強さは「認証レベル」で決まり、どこまで守るかが段階になっています。
Microsoft の資料では、守りたい通信には 5(PKT_INTEGRITY)か 6(PKT_PRIVACY)を使うように勧めています。それより低いレベルは、送り主を確かめることはできても、途中での書き換えを防げません。Negotiate や SSPI については「LSASS・SSPI・Negotiateとは?」の記事で説明しています。
DCOM の脆弱性(CVE-2021-26414)への対応として、Windows は DCOM の認証レベルを段階的に引き上げました。2021年6月の更新で設定を選べるようになり、2022年6月14日の更新で既定で有効に、2023年3月14日の更新からは無効にできなくなっています。いまの Windows では、DCOM のサーバを呼び出す要求(アクティベーション)は、5(PKT_INTEGRITY)以上の認証レベルでないと受け付けられません。
古いアプリや監視ツールがつながらなくなったときは、サーバ側のシステムログにイベント 10036、クライアント側にイベント 10037 か 10038 が記録されていないか確かめます。記録されていれば、アプリ側を新しくする必要があります。
確認に使うコマンド
PC01(PowerShell):DC01 の名前を引いて、返る IP アドレスを確かめる
Resolve-DnsName dc01.corp.example.com
PC01(PowerShell):DC01 の TCP 135 に届くか確かめる
Test-NetConnection -ComputerName dc01.corp.example.com -Port 135
PC01(コマンドプロンプト):DC01 のエンドポイントマッパーに登録されているサービスとポートを表示する(PortQry が必要)
portqry -n dc01.corp.example.com -e 135
PC01(PowerShell):PortQry で分かった動的ポートに届くか確かめる(49664 は例)
Test-NetConnection -ComputerName dc01.corp.example.com -Port 49664
DC01(コマンドプロンプト):TCP の動的ポートの範囲を表示する
netsh int ipv4 show dynamicport tcp
DC01(PowerShell):RPC のサービスとエンドポイントマッパーのサービスが動いているか確かめる
Get-Service RpcSs, RpcEptMapper
DC01(コマンドプロンプト・管理者):RPC 全体のポートの範囲が設定されているか確かめる
reg query HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Rpc\Internet
DC01(コマンドプロンプト・管理者):AD と Netlogon の RPC に決まった番号が設定されているか確かめる
reg query HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\NTDS\Parameters /v "TCP/IP Port" reg query HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Netlogon\Parameters /v DCTcpipPort
PC01・DC01(コマンドプロンプト・管理者):両方で同時にネットワークトレースを取り始める(ファイル名はそれぞれ変える)
netsh trace start scenario=netconnection capture=yes tracefile=c:\pc01_nettrace.etl maxsize=512 overwrite=yes report=yes
PC01・DC01(コマンドプロンプト・管理者):問題を再現したあと、トレースを止める
netsh trace stop
reg query でキーや値が見つからないというエラーになるのは、その設定をしていない(既定のまま)という意味です。
まとめ
| 項目 | ひとことで |
|---|---|
| RPC | ほかのコンピュータの関数を、自分の関数のように呼ぶしくみ。AD のレプリケーションや Netlogon、リモート管理の土台 |
| TCP 135 | エンドポイントマッパー。サービスの番号を教える「受付」 |
| 動的ポート | サービスが起動時に割り当てられる番号。既定は 49152〜65535 |
| 名前付きパイプ | SMB(TCP 445)の IPC$ を通る RPC |
| ファイアウォール | 135 だけでは足りない。動的ポートも通す(または狭めて通す) |
| 狭める方法 | サービスごとの固定(AD は NTDS と Netlogon)を先に。なければ Rpc\Internet |
| 1722 と 1753 | 1722 はつながらない(多くは動的ポート)、1753 はつながったがサービスがない |
RPC のトラブルは、「135 番で番号を聞く」「その番号につなぎ直す」という2段階を思い浮かべると、どこで止まっているかが分かりやすくなります。ファイアウォールの申請で「135 番を開けてください」とだけ書いてしまうのはよくある失敗なので、動的ポートの扱いもあわせて決めておきましょう。
- Remote Procedure Call (RPC) error troubleshooting guidance(Microsoft Learn)
- How to configure RPC dynamic port allocation to work with firewalls(Microsoft Learn)
- The default dynamic port range for TCP/IP has changed since Windows Vista and in Windows Server 2008(Microsoft Learn)
- How to configure a firewall for Active Directory domains and trusts(Microsoft Learn)
- How to restrict Active Directory RPC traffic to a specific port(Microsoft Learn)
- Service overview and network port requirements for Windows(Microsoft Learn)
- Active Directory replication error 1722: The RPC server is unavailable(Microsoft Learn)
- Active Directory Replication Error 1753(Microsoft Learn)
- Troubleshoot domain controller replication error 1727(Microsoft Learn)
- How to use PortQry to troubleshoot Active Directory connectivity issues(Microsoft Learn)
- Configure rules with group policy(Create inbound rules to support RPC)(Microsoft Learn)
- Services and RPC/TCP(Microsoft Learn)
- Authentication-Level Constants(Microsoft Learn)
- Issues in Configuration Manager after installing June 2022 security updates(DCOM の強化の時期とイベント)(Microsoft Learn)
- KB5004442—Manage changes for Windows DCOM Server Security Feature Bypass (CVE-2021-26414)(Microsoft サポート)
- COM, DCOM, and Type Libraries(Microsoft Learn)
- Setting up a Remote WMI Connection(Microsoft Learn)
- Windows Remote Management(Microsoft Learn)
- Working with WMI(CIM のコマンドと DCOM)(Microsoft Learn)
- What Are All the Predefined Applications That Create Predict Sessions or Require ALG?(Palo Alto Networks)
- How To Check if a Session is Established and the Parent Session Information(Palo Alto Networks)
- Application Level Gateways(Palo Alto Networks)
- Applipedia(msrpc-base・active-directory・ms-wmi)(Palo Alto Networks)
- DCE-RPC session helper (dcerpc)(Fortinet)
- Technical Tip: DCE-RPC session helper(Fortinet Community)
- Technical Tip: Policy matching of DCERPC traffic(Fortinet Community)
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