SSLアクセラレーション機能により、HTTPSアクセスにて、クライアントとサーバ間でSSLの暗号・復号をするのではなく、クライアントとロードバランサ間でSSLの暗号/復号を行うことで、サーバの処理負荷を軽減することができます。
下記、記事にあるHTTP負荷分散の構成を元に、SSLアクセラレーションを追加実装し、動作確認をします。(追加実装分のみを記載しますので、下記記事を先にお読みいただくことをおすすめします)
>> 参考記事 : 負荷分散の基本設定と動作確認(Node、Pool、VirtualServer)サーバ証明書の用意
あらかじめ、ローカルの認証局でサーバ証明書と秘密鍵、CAルート証明書は発行しているものとします。
ファイル名
サーバ証明書 :server-cert.pem
秘密鍵 :server-key.pem
CAルート証明書 : ca-cert.pem
サーバ証明書、CAルート証明書の概念は、下記記事を参考にしてください。
>> 参考記事 : 【初心者】公開鍵暗号、認証局、デジタル署名をイメージで解説CAルート証明書
サーバ証明書を署名するCAルート証明書です。CNはCA-hirotanoblogとしています。こちらは、クライアント側にインストールしておきます。
$ openssl x509 -in ca-cert.pem -noout -text Certificate: Data: Version: 1 (0x0) Serial Number: 11950287768102403307 (0xa5d7f368e5707ceb) Signature Algorithm: sha256WithRSAEncryption Issuer: C=JP, ST=Tokyo, L=Shinagawa-ku, CN=CA-hirotanoblog Validity Not Before: May 17 16:07:08 2022 GMT Not After : May 17 16:07:08 2023 GMT Subject: C=JP, ST=Tokyo, L=Shinagawa-ku, CN=CA-hirotanoblog Subject Public Key Info: Public Key Algorithm: rsaEncryption Public-Key: (4096 bit) Modulus: 00:ce:6c:21:4e:61:b0:a2:a1:56:63:db:d4:22:38: 2c:bb:0a:2d:97:6c:5e:ce:45:a5:d3:94:49:7d:09: ・ ・ ・
サーバ証明書
サーバ証明書は、下記のとおり、CNは www.hirotanoblog.work として発行しています。上のCAルート証明書で署名しています。
$ openssl x509 -in server-cert.pem -noout -text Certificate: Data: Version: 3 (0x2) Serial Number: 14957747684200753374 (0xcf949844ecb528de) Signature Algorithm: sha1WithRSAEncryption Issuer: C=JP, ST=Tokyo, L=Shinagawa-ku, CN=CA-hirotanoblog Validity Not Before: May 17 16:07:09 2022 GMT Not After : Jul 16 16:07:09 2022 GMT Subject: C=JP, ST=Tokyo, L=Shinagawa-ku, CN=www.hirotanoblog.work Subject Public Key Info: Public Key Algorithm: rsaEncryption Public-Key: (4096 bit) Modulus: 00:c8:18:f2:73:13:39:dc:5f:ef:fd:b2:b5:b8:01: 0c:07:29:0f:55:a2:e6:c5:5f:48:4d:f9:11:46:18: ・ ・ ・
サーバ証明書と秘密鍵のインポート
秘密鍵のインポート
System >> Certificate Management >> Traffic Certificate Management >> SSL Certificate List より Importをクリックします。
Import Typeで、Key を選択します。
Key Name で任意の名前を入力(今回は、hirotanoblog.workとします)し、Key Sourceで Upload Fileを選択のうえ、ファイルを選択 から、ローカルに保存している秘密鍵(今回は、server-key.pem)を選択し、Importをクリックします。
下記のとおり登録されます。Contentsが RSA Keyであることを確認します。
サーバ証明書のインポート
上でインポートした秘密鍵(hirotanoblog.work)をクリックします。
Import をクリックします。
Certificate Source でUpload Fileを選択のうえ、ファイルを選択 から、ローカルに保存しているサーバ証明書(今回は、server-cert.pem)を選択し、Importをクリックします。
下記のとおり登録されます。Contentsが RSA Certificate & Keyであることを確認します。
Client-SSLプロファイルの作成
クライアントとBIG-IP間のSSLトラフィックを復号化して、Webサーバへ転送する場合は、Client SSLのプロファイルを仮想サーバに適用します。
Local Traffic >> Profiles >> SSL >> Client へ移動します。
右上のCreateをクリックします。
下記の画面が表示されます。Nameで任意の名前(今回は、hirotanoblog.work とします)を設定し、ConfigurationのCustomにチェックを入れ、Certificate Key Chain のAddをクリックします。
Certificate (サーバ証明書)およびKey(秘密鍵)それぞれで、hirotanoblog.workを選択し、Addをクリックします。
下記のように登録されます。
Finishedをクリックし、設定を反映します。
Client-sslプロファイルが作成されていることが確認できます。
仮想サーバへClient-SSLプロファイルの適用
HTTPサーバの負荷分散用に作成済みの仮想サーバ(Web-VS)に、Client-sslプロファイルを適用します。
Main >> Local Traffic >> Virtual Servers から、Web-VSをクリックします。
Server PortをHTTPS 443番 に変更します。(元々はHTTP 80番)
SSL Profile( Client )で、Availableにリストされている Client-sslプロファイル(hirotanoblog.work) を 左矢印ボタンにてSelectedに移動させます。
Updateをクリックし、設定を反映します。
動作確認
クライアントから https://www.hirotanoblog.work へアクセスすると、Webサーバへのアクセスが確認できます。(ローカル認証局で証明書を発行した関係で、Chromeのブラウザ上は、”保護されていない通信”と表示されていますが、今回は無視します。)
Statistics >> Module Statistics >> Local Traffic より Statistics Type で Virtual Servers を 選択すると、Web-VSの In/Outのカウントが上がっていることが確認できます。
Statistics Type で Poolsを選択すると、Web-01、Web-02それぞれのIn/Outのカウントも確認することができます。
コメント